第1章 【シンデレラの憂鬱】
そんな時だった。
ゴーン、ゴーン。
…え、もう12時な訳?
でもそう言えば、小山って魔法使ってないし、別に12時に戻る必要、なくない?
「あ、門限あるから!言うの忘れてた~。」
「ここ、魔法使い出るとこじゃないだろ!」
思わず指差した貴久。
やってしまって、ハッとなる。
「しまった、台詞にないこと言っちゃった…。」
なんだよ、台詞って。
そもそも台本ねぇだろ、これ。
だいたいな、26にもなって、門限ってなんだっつの。
「あら、シゲってば箱入り息子★じゃ、とっとと帰んな!」
そう言って祐也がオレの背中を蹴飛ばした。
「あぁ~、快感♪一回こういう役、やってみたかったんだよね~。」
手越、役とか言うな!
そう叫ぼうとしたら、オレの口から何かが飛び出した。
…なんだ、あの小さくて丸いもの。
「あ、シゲのどちんこ飛んだ…。」
「飛ぶかっ!」
貴久の言葉に反論してみたが、自分の口から出た声が余りにもキーが高くて驚く。
え、マジでのどちんこ飛んだ的パティーン?
「シゲ、声が超可愛いんですけどっ!」
ゲラゲラ笑う手越。
いや、笑ってる場合じゃねぇって!
オレ、今日は予備持ち合わせてねんだって。
「シゲアキくん、大丈夫?」
そう言って慌てて駆け寄って来ようとする。
だけどオレは余りの声に恥ずかしくなって、走って逃げたのだった。