第1章 【シンデレラの憂鬱】
「かわいそうなシンデレラ。」
…棒読み過ぎな小山に唖然とする。
しかも何よ、その格好。
先っちょがひん曲がった鼻といい、怪しげな帽子といい、似合い過ぎるマントといい…。
杖持ってんのは、父親だけかと思ったわ。
「オレは魔法使い。キミをパーティーに行かせてア・ゲ・ル♪」
そう言った小山が杖を一振り。
「キュンタスティ~ック!」
呪文ももうちょっと考えて来よっか、小山。
思いつきで言った感丸出しの呪文の後、小山が持っていたスーツケースを地面に置いた。
パチン、パチンと音を立ててスーツケースを開く。
…さっきの前振り、なんだった訳?
だけど、スーツケースから取り出された衣装に、オレは息を呑んだ。
白いシャツに白い7分丈のパンツ、足首が隠れる長さのバッシュタイプのシューズ。
…どっかで見たな。
「ごめん、ごめん。予算の都合上、チャンカパーナの衣装で代用ってことで(笑)」
なんなんだよ、予算の都合って!
つか、物語に予算ってあんのかよ?
「だって、馬車とか用意しなきゃなんないじゃない?」
いや、そこはネズミとカボチャを使ってだな…。
言いかけた言葉を飲み込んだ。
目の前には、携帯で電話をする、自称魔法使い小山。
「あ、すいませ~ん。喜多川財閥の前にタクシー1台お願いしますぅ~。」
「タクシーかいっ!!」
思わず突っ込みを入れてしまった。
なんつぅか、大阪人としての血が騒いだっていう…。
「ココしか出番ないんだから、最大限遊ばせてよ。」
そう言った小山魔法使いは、到着したタクシーにお金を払い、タクシーが見えなくなるまで嬉しそうに手を振ってくれたんだった。