第1章 【シンデレラの憂鬱】
つい最近まで会った事もなかった父。
まさか杖ついたお爺さんで、しかも日本語ちょっと怪しい人だなんて思ってなかった。
母親が死んだ時、葬儀に出席してくれて、オレを引き取ってくれたこのお爺さん…もとい、お父さん。
喜多川財閥のオーナーである。
「ミーと一緒に来たまえ。」
猫のことかと思ったくらいだ。
まさか自分のことをミーって言うような父親がいるなんて、誰が思ったよ?
連れて来られた豪邸に居たのは、喜多川財閥後継者である3人の兄弟。
一番年下の次男坊祐也は、サッカースタジアムの運営を任されている。
真ん中の長男坊貴久は、アパレル関係のデザイナーをやらせて貰っているそうだ。
「大丈夫?」
そんな2人に散々苛められているオレを、いつも気遣って声を掛けてくれるこの女性。
一番年上の長女、。
この家で最もマトモな神経の持ち主であり、オレが最も心を許す相手。
「あ、だいじょぶ…です。」
思わずたどたどしくなる。
床に投げ捨てた雑巾を拾い、手伝いましょうか?なんて優しく声を掛けてくれるこの人に、オレは首ったけ。
…待てよ、じゃあシンデレラはどうやって王子様と出会うんだ?
この時点で一緒に住んでたら、誰がオレを助けるんだよ。
ますます設定おかしいだろ、作者!