第1章 【シンデレラの憂鬱】
「シゲ、ここ汚れてる!」
自分で零したジュースを指差し、祐也がキッチンで騒いでいる。
王子丸出しのキラッキラな格好をした祐也は、金持ち一家、喜多川家のボンボンである。
次男坊特有の我侭さを遺憾なく発揮するが、家中にいる家政婦さん達に振りまく笑顔はまさに天使。
オレにだけ見せるその悪魔の顔、いつかぜってぇ暴露してやる…。
床に四つん這いになって雑巾掛けをしていると、冷蔵庫につまみ食いしに来た貴久が雑巾を踏ん付けた。
「あ、ごめ~ん。踏んじゃった★」
女性だったらイチコロのその笑顔だって、男のオレにゃ全く効果がねぇんだっつの!
何が踏んじゃった★だよ。
わざとだろ、わざと!
てめぇのその化けの皮、いつかぜってぇ剥いでやる…。
「っつか、何でオレがシンデレラなんだよ!」
1人になったキッチンで雑巾を床に叩き付けた。
そもそも、シンデレラって姉が2人だろ?
だったら、シンデレラってオレじゃなくて手越じゃん!
設定おかしいだろ、作者!