【R15】キャラメル デェア ディアボロ【ハイキュー夢小説】
第3章 日向翔陽と飴玉
彼女の心を無視する様な事はしたくない気持ちと、彼女の心を操ってでも手に入れたい気持ちに揺らいでしまう。
『日向君』
コロコロと鈴の様に笑う彼女に会いたい。飴の事は関係無く。
会って話をしたらこんなモノ使いたいと思わなくなるかもしれない。
貰ったカップケーキをガブリと噛み付き、口中に甘い味が広がり日向は小さく呟いた。
「…………滅茶苦茶美味しい」
◆
あれから十日。飴玉の事ばかりを考えていて、日向はやってしまった。
上の空で過ごし過ぎ、数学の小テストで一桁を取ってしまい、それをまた運悪く澤村に見付かってしまったのだった。
「……日向、分かってるよな」
「は……はい」
部室の畳に正座をし、目の前には仁王立ちの澤村。勿論お怒りの。
「折角赤点回避の為に勉強をして、それはこれからもって約束だったよな?」
「……はい」
日向の返答に、小テストの答案用紙をぴらりと持った澤村は黒い笑顔で言う。
「じゃあこの点数はどう言う事だ?」
「すっすみませんっ!」
ガバッと土下座をした所で、テストの結果は変わらない。
澤村は改めて答案用紙を見ると、笑顔で、はっきりと告げるのだった。
「今週末の練習試合、日向は欠席な」
「そっそれだけはっ……」
許してくれ、と言う前に肩をガシッと掴まれ、圧のある声色で澤村に言われた。
「今週末はがっつり一夜漬けじゃない勉強をしてくる事。月曜日にノートしっかり見せてもらうかなら」
有無言わせぬ澤村の言葉に、日向は真っ白になってしまうのだった。
◆
日向は携帯をポチポチと押しながらメールを送っていた。
今週末の練習試合。本当だったら彼女が見に来てくれる筈だったのに、欠席にさせられてしまい、自主勉をしなければならなくなった。
普段だったら谷地や山口に助けてもらう所だが、二人は練習試合があるので無理であり、一人でやるしかないのだ。
『本当にごめん。テストで悪い点とっちゃって』
そう最後に文章を打ち込み、メールを送信した。
数分後に携帯が鳴り、すぐにメールフォルダを確認した。
『たまに悪い点取っちゃう事あるよね。私は大丈夫だよ。試合もこれからまだまだいっぱいあるんだよね?また次にある試合は絶対に見に行くからね』