【R15】キャラメル デェア ディアボロ【ハイキュー夢小説】
第6章 角名倫太郎と飴玉
意中の相手がいるけれど、自分の思いを素直に伝える事が出来なくて。
恋人未満であるのは当たり前だけれど、友達以上と言えるのかが分からない。
自分はこんなにも想っているのに、相手はきっと自分の事を『仲の良い友人』としてか見てくれない。
そんな感情しか持ってくれていない相手に告白をして、友人、と言う関係すら失うのが怖く、一歩先へ進む事が出来ない。
でも、その一歩先を自分の意のままに進める事が出来るとしたら?
自分の望むままに出来るとするならば?
「この飴を口の中に入れて意中の相手に口付ける。そして相手の口内で舐め合いつつ、相手の好きな所を五つ伝えてごらん。伝えて飴を食べきれば相手はお前に惚れてしまうから」
差し出された掌にある二つの飴。
悪魔の囁きを聞き入れてしまえば、甘い誘惑に堕ちていくだけである。
企画夢小説
キャラメル デェア ディアボロ
角名倫太郎と飴玉
「角名くんっ!ちょっと良いかなっ?」
顔を赤くしながら彼女が頼み事をしてくる時は決まっている。
角名は本を読んでいた手を止めて閉じると、椅子から立ち上がり言う。
「良いよ。移動しよう」
彼女の頼み事は絶対に断れないので、角名は彼女と共に教室から移動をした。
今日は何を作ってきたのだろう、と角名は彼女が大事そうに抱えているカバンを見ながら考えていた。
校内の適当な所、人気のない木の下に辿り着くと腰を下ろして尋ねた。
「今日は何を作ってきたの?」
「え、えっとね……」
角名の隣に腰を下ろしながら、彼女は持っているカバンの中に手を入れてタッパーを取り出した。
タッパーを受け取り開けると中に入っているのはクッキー。
カラフルな装飾が施されたクッキーは確か、アイシングクッキーと呼ばれている。
緊張している彼女を横目に一つ取り、口に含む。
ちゃんと味を噛みながら食べ、角名は答えた。
「美味しいね。変に甘くないし」
「ほっ本当 !? 」
「嘘付いても仕方ないでしょ?」
角名がそう言い切ると、彼女は手をモジモジしながら、小さく答えた。
「侑くんにあげたら……食べてくれるかな?」
角名は表情を変えずに、彼女の事を黙って見つめるのだった。
そう、目の前にいる彼女は宮侑の事が好きであるクラスメイト。