【R15】キャラメル デェア ディアボロ【ハイキュー夢小説】
第4章 岩泉一と飴玉
自分には一枚も来ないのに、及川には五通も。
そもそも及川目的以外で一緒にいてくれる女子は、目の前の彼女以外知らない。
大きく溜息を漏らしてから腰をかけて、岩泉は言った。
「お前バレー強いんだから部活入れば良いじゃねーか。勿体ねぇ」
空を見上げながら言うと、彼女も岩泉の隣に腰掛けて同じ様に空を見上げた。
「んー、やっぱり父さんの手伝い忙しいし、部活に拘束されなくてもバレーは出来るからなぁ……」
高校バレーに興味がない訳じゃないのだが、彼女はそう答えていた。
彼女との出会いは小学生の頃に遡る。
及川と共に言った子供バレー教室のコーチの娘。それが彼女だった。
物心着く頃からバレーボールを触って生活をしていた彼女は、同年代から頭一つ才能が飛び出ている存在だった。
純粋にバレーボールが好きで、及川と岩泉の事をバレーボール仲間と見ている彼女。
きっと将来は父親の後を継いでバレー教室をやっていくのだろうな、と岩泉は思っていた。
「そう言や、ちょっと髪の毛伸びたか?」
岩泉に言われて、襟足を触りながら彼女は答えた。
「あー、そう言えばちょっと伸びてきたかも」
「別にショートじゃないといけない理由はないんだろ?」
小学生時代に少し髪の毛が長かった時期があった。けれどある日バッサリショートカットしてから、彼女の髪の毛はずっと短いままだ。
「バレーやるのにどうしても邪魔だったというか……最近のチビ達ってポニーテールとかだとすぐに引っ張ってくるんだよ」
子供達の相手にする時に邪魔だから。彼女らしい、髪の毛を伸ばさない理由。
岩泉はついつい髪の毛に触りながら、無意識に言ってしまっていた。
「髪の毛長いの似合ってたのにな」
言ってから触っている事に気が付いて、岩泉は真っ赤な顔をしながら手を引いた。
しかし彼女は全く気にしていないらしく、笑いながらに言うのだ。
「長かったの、って何時の時の話よ〜。小学校の時だっけ?懐かし〜」
ケラケラと笑う彼女の姿を見て、岩泉は改めて彼女もまた自分の事を異性として見ていないのだな、と思わずにいられなかった。
自分は及川の事に靡く事無く十年以上の付き合いになる彼女が、好きだと言うのに。