【R15】キャラメル デェア ディアボロ【ハイキュー夢小説】
第4章 岩泉一と飴玉
意中の相手がいるけれど、自分の思いを素直に伝える事が出来なくて。
恋人未満であるのは当たり前だけれど、友達以上と言えるのかが分からない。
自分はこんなにも想っているのに、相手はきっと自分の事を『仲の良い友人』としてか見てくれない。
そんな感情しか持ってくれていない相手に告白をして、友人、と言う関係すら失うのが怖く、一歩先へ進む事が出来ない。
でも、その一歩先を自分の意のままに進める事が出来るとしたら?
自分の望むままに出来るとするならば?
「この飴を口の中に入れて意中の相手に口付ける。そして相手の口内で舐め合いつつ、相手の好きな所を五つ伝えてごらん。伝えて飴を食べきれば相手はお前に惚れてしまうから」
差し出された掌にある二つの飴。
悪魔の囁きを聞き入れてしまえば、甘い誘惑に堕ちていくだけである。
企画夢小説
キャラメル デェア ディアボロ
岩泉一と飴玉
「岩泉君!わ、私っ!」
岩泉は昼休みに呼び出しされたかと思うと、真っ赤な顔をした女子が手紙を突き出してきた。
もう慣れ過ぎてしまったラブレターを渡される瞬間。
これが自分だったら嬉しいがまぁ、毎回毎回同じ名前が書かれている。
『及川徹』
腹が立つ程にモテる幼馴染。
及川徹の幼馴染と言う理由で、ラブレターを代わりに渡して欲しいと頼まれる事の多さと言えば。
自分に話しかけて来た女子がちょっと可愛いと思い始めると、大抵目的は及川であった事が発覚するのだ。
「……分かった、渡しておけばいいんだろ?」
「ありがとうっ!」
面倒臭いとラブレターを受け取りながら伝えてやると、女子は満面な笑みで走り去ってしまった。
岩泉は幼馴染にラブレター渡して下さい、と呼び出された奴。周りから見たら哀れな姿でならない。
一度及川の顔面目掛けてバレーボールでも投げつけてやろうかと怒りを感じていると、後ろから吹き出し声が聞こえた。
「ぶっ!」
「……お前なぁ」
青筋を立てながら振り返るとそこにいるのは彼女。
今のやり取りを全て見ていた彼女は我慢の限界だったらしく、口元を抑えて笑いを堪えているではないか。
「ごめ……でも今月岩泉、告白呼び出し多くないっ……?及川宛の告白っ」
ふぶっと笑う彼女の言葉に岩泉は確かに今月はもう五通目だ、と思った。