• テキストサイズ

沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第46章 緋星(あけぼし)喰われしその時に、心炎で天蠍を衝け ✴︎✴︎



「終わった……」

七瀬はもう一度フウと長く息をはいた後、改めて将門塚に向き合い、目をつぶって一礼をした。再建した自分をもしかしたら守ってくれたのかもしれない。そんな思いがふと湧き上がったからだ。


『ありがとうございます、無事に終わりました』

心の中で呟き終わり、目を開けて顔を上げるとそう言えば…と思い出したように塚がある空間を見回す七瀬。

入って来た時は頸を献上する事に必死で気づかなかったが、石室内は松明で照らさずとも明るくなっていた。石達がぼんやり光っている…とでも言えば良いだろうか。朝霧の頸を斬った事も関係しているのかもしれない。

「七瀬」

彼女を後ろからを呼んだのは杏寿郎だ。やや心配そうな表情で伺うように見ている。

「無事に終わりましたよ、ほらこれ」

左手の甲を彼に見せると、途端に杏寿郎の目元が綻ぶ。そして七瀬の目の前まで歩いて来た炎柱は自分の掌で優しく彼女の両手を包んだ。

「鬼殺隊にとって、無論俺にとっても…君のこの両手はとても大事な物だ。失われなくて本当によかった…!」

七瀬の手を自分の額ににコツンと当て、手と手の隙間から伝わって来るのは杏寿郎の体温だ。願うように目をつぶっていた彼はやがてそれを開け、七瀬のの左手首に視線をやる。

「父上と千寿郎に感謝せねばな」

「…はい」

杏寿郎の黒色の組紐と七瀬の赤色の組紐は二人が町で見つけて購入した物だ。

“必ず上手くいきますよ”

“絶対に最後まで諦めない事”

そんな思いを込めて選んでくれたと言う。

「さっき、将門公にもお礼を伝えました」

「そうか。では俺も……」

七瀬の両手から温もりが一旦離れ、少し寂しいな…と彼女が思っていると、そこへ炎柱の右手が七瀬の左手に絡む。二人で塚に行くと、杏寿郎が目を瞑り、一礼をした。数秒の後、目を開けた彼は再度笑顔を見せる。

「杏寿郎さん、ちょっと……」

「ん、どうした?」

七瀬は杏寿郎の手を軽く引きながら、南の柱がある方向に向かって歩き出した。

「将門公の前では恥ずかしいなあと思って……」

赤い柱がある空間に着くと、彼女は自分の両手をゆっくりと彼の大きな背中に回す。すると、それに応えるように七瀬の背中に温かい両手が回った。
/ 568ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp