第39章 甘えさせ上手と言われたい ✳︎✳︎
「杏寿ろ、さん…気持ちいい…もっとさわっ、て」
「ああ、君の望み通りたくさん触れる。声も遠慮はするな」
「はっ、あぁ…や、ん…」
膨らみの中央に鎮座している乳輪を擦られると、一体どこから出るんだろう。普段の自分からは考えられないくらい甘い声が口から自然と発せられる。
結合部からじわりじわりと溢れる雫が、彼の股を更に濡らしていく。
「七瀬」
「は、い…? んっ」
繋がりを保ったまま、杏寿郎さんが私の体を回した。互いの敏感な部分が擦れ合うとその刺激で気持ち良さが加速する。
背中の傷痕が一度度撫でられた後、軽い口付けが落ちた。瞬間、強い刺激がそこに加えられる。
ここにもまたつけられちゃった…。でも ——
「気持ち良いか?」
「…はい。悔しいぐらいに」
ふう、とため息がこぼれる。杏寿郎さんの顔は全然見えないけど、絶対してやったりの表情なんだろう。
少し脱力した私のお腹に彼の両手が回る。あたたかな掌だ。もう…と思っても、こうされるとすぐ許してしまう私って本当に弱いなあ。
彼の両手を包みこむように、私は自分の手をそっとあてた。
「…杏寿郎さん」
「どうした?」
呼びかけた瞬間、右耳がちうと吸い上げられ、耳たぶを舐められた。繋がった部分がきゅっと締まる。
「気持ち良すぎて…離れたくないです。凄く…困ってます」
「そうか」
…嬉しそうな声だな。人が困ってるって言ってるのに。
「あ、いきなり…だ、め」
「もっと気持ちよくなりたいだろう? であればこうせねば。俺は君のここが大層好みだからな」
腹部にあたっていた両手が流れるように動き、覆われるのは二つの膨らみだ。