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沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第39章 甘えさせ上手と言われたい ✳︎✳︎



「どんな事を君は感じている? 教えてほしい」

「んー、そうですねぇ。まずは嬉しい! これに尽きるんですが、他には……」

もちろんいっぱいある。杏寿郎さんに伝えたい事。
それは愛おしさだったり、あたたかさだったり、彼に触れている時に感じる気持ちよさだったり、安心感もか。

思いつく限りを指折り数えて話していくと、杏寿郎さんが小さく笑った。

「あの…私、何か杏寿郎さんが笑ってしまうような事を言いましたか?」

おかしな事は言ってないと思うんだけどな。彼の返答を少しドキドキしながら待っていると ——

「安心して貰えてるんですね。凄く嬉しいです」

良かった。変な事言ったかどうか心配だったんだよね。杏寿郎さんも私といる事で安心するのだと聞いて、愛おしさが込み上げる。

彼の頭頂部にゆっくりと口付けをした。ふわふわの髪が頬にあたる。私とは違う髪の色に髪質。でもこうしてふれると、ほっとする杏寿郎さんの髪。

夜でも太陽がそこにあるのかな?と感じさせてくれる、明るい色だ。

「そうだな。しかし、もっと安心する事と言えば…」

「? 何でしょう」

恋人の顔が自分に向いたと思うと、いつも上から来る口付けが今日は下からやって来る。

二度程小さな音を出しながら、唇を吸われた。それだけするとゆっくり顔を離す彼。普段とは違う事をされた為、私は瞬きを繰り返す。

「やはりこれだろうか。七瀬との口付けはもちろん、その顔を見るとより安心する」

「もう…またそんな事言って」

「次は何をしてくれるんだ?」

「えっ? うーん……」

次? 次、かあ。両目を閉じて考え始めると、眉間に皺が寄るのが自分でもわかる。どうしたら杏寿郎さんが喜んでくれるかな。

懸命に考えていると、自分の唇がさっきと同じように二度吸われてしまった。


「すみません、ちょっと真剣に考えているので…邪魔しないでくだ、さい…」

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