第35章 心炎八雲、今宵も甘えて混ざりあって ✳︎✳︎
「杏寿……さん…好き…」
「ああ…もっと…はあ…君の声を…聞きたい」
パン…と体を打ちつけ合う度に、二人の結合部からあふれる艶めかしい水音。弱火が強火になるように、熱く熱く温度が上昇していく互いの体と心。
「ん、もっと……強く、あぁ…!!」
「はあ……ここ、だろう?」
ズンと子宮に繋がる最奥を一度突いてやると、悲鳴に近い声を放つ七瀬。
ズン、ズン、と律動を進める度に、彼女が艶っぽく啼く。
もっと聞かせて欲しい。もっと啼いて……俺を求めて欲しい。
「んっ、はぁ、きょ、じゅろ……さ……来て…」
今…ここで?君はそれを言うのか!!
いかんな、本能が理性を飛び越えてしまいそうになるではないか。
「七瀬!…七瀬………くっ…はぁ…」
男根を勢いよく抜くと、彼女の腹に強火の欲望を複数に分けて吐き出した。
ふう、ふうと呼吸を整え終わった後、文机に置いてあるちり紙で腹を丁寧に拭き取り、彼女をぎゅうと強く抱きしめる。
「……危なかった」
「……何がですか?」
俺の背中をゆっくりと撫でてくれている七瀬に、上から一つ優しい雨を額に降らせた。それから桃色に色づいた愛らしい唇をゆっくりとなぞる。
「来てほしいと言われて、一瞬だが出してしまいそうになったぞ。君の中に」
「…言ってましたね…」
七瀬の全身が少し熱くなるのがわかった。
「ん?何か言いたい事があるんじゃないのか?」
「うーん。あるけど今は言いません。秘密です」
「む……そうか」
「はい、すみません」
彼女はこうと決めたら譲らない部分もある故、仕方ないな。
「杏寿郎さん」
「どうした?」
唇をなぞっていた指を外し、また自分の両手で七瀬の頬を包み込んだ。
「あなたが大好きです。本当に好き」
「……君は俺を誘うのが上手いな。大好きだ、七瀬。ずっとずっと…側にいてくれ」
そして目を瞑った彼女。胸いっぱいに愛おしさが広がり、唇を数回啄んでしまう。