第26章 七十ニ時間分の恋慕 ✳︎✳︎

「ここから見る君は新鮮だな。かわいい事に変わりはないが」

「……ありがとうございます。ねえ、杏寿郎さん」

「なんだ？」


彼の右手が、私の左頬にいつも通りあてられた。


「私、あなたが大好きです」

「ああ、知っている」


まずはおでこに口付け。それから両瞼、鼻、両頬と口付けの雨を降らす。そして杏寿郎さんの唇に口付けると、彼の逞しい腕が私の首に回る。


ちう、ちうと啄みながら、舌を絡め、口内をじっくりと堪能していると、私の左太ももに硬くそりたつ物が存在感を示すように当たった。

ん……これって…首、鎖骨…と唇で辿って行き、たどりついたのは彼の胸板。


ちょこんと可愛く鎮座している胸の先端を口に含む。もう一つは指で挟んだ。男の人はどうだったっけ。ここはあまり感じにくかったような……

そんな事を考えていると、私の髪に大きな手が優しく差し込まれる。


『つけちゃおうかな.... 』

ふと生まれるイタズラ心。一旦顔を上げて、彼を見る。


「何か企んでいる顔だな」

「ふふっ。流石、お見通しですね」

彼の胸の蕾近くに唇を持っていき、三回程少しキツめに吸い上げる。

「はっ……しるし、か」

小さいけど、はっきりと赤い花がそれぞれ咲いた。


「これで、おそろいです」

私は彼が咲かせてくれた花より少し小さいそれをゆっくりと優しく撫でて、その三つに口付けをした。


『あなたが大好き…』
そんな気持ちを込めて、一回一回大事に唇を当てていく。


「ここは見えないから、三つでも大丈夫ですよね？」

「君も言うようになったな、まあそうさせたのは俺だが」

はい、と一つ頷くと私は唇を下に下に這わせながら、一回一回口付けを落としていく。ん…触り心地が良いのは杏寿郎さんも一緒…気持ちいい…。そして、彼の男根に私の口元が辿りつく。