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沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第22章 風柱・不死川実弥



「それじゃあ、傷にあまり響かないようにお願いします」

「……善処しよう」


ふふっと笑う七瀬に、ん?と首を傾げる杏寿郎だ。


「いえ、やらないって選択肢は杏寿郎さんにはないんだなあって」

「言っただろう、君の肌を見てしまったのだ。故にそれはない!」

「はい…わかりました。どうかお手柔らかにお願いします」

「承知した」


笑顔の七瀬の唇を、杏寿郎の唇が柔くしっとりと吸った。
二人で過ごす、甘くて深い時間の始まりだ。


















「大事ないか? 七瀬」

恋人に言われた通り、杏寿郎は己の欲を出来る限り調整はした。一見七瀬が苦しそうにしている様子は見られなかったが…。


「杏寿郎さん、やっぱり優しい。大丈夫ですよ」

「そうか…良かった」

「でもその分、たくさん花が咲いてますけど。こことか隊服で隠れるんでしょうか…」


七瀬が指でさした場所は、左手首と手の甲の丁度境となる部分だ。小さいけれど、そこには赤い鬱血痕が二つ連なっているように咲いている。
尚これは右手首も同様だ。


「虫に刺されたとでも言えば良いだろう」

「それ、夏だったら通用するかもしれませんけど……今はまだ春ですよ?」

「むっ……」

『あ、ちょっと困ってる。かわいいな』


恥ずかしいのは確かだが、七瀬はそれよりも普段見る事が少ない恋人の表情が愛おしい。


「こら、またか」

「え?」

瞬間、むにっと彼女の唇が杏寿郎の指でつままれる。


「かわいいは男には禁句だぞ」

「ふふっ……」

「何故そこで笑うのだ?」

「ふぁって……」

「ああ、すまん。これでは君が話せないな」




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