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沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第22章 風柱・不死川実弥




嬉々として会話を進める杏寿郎と長友に対し、鋭くツッコミを入れる実弥。
柱同士は多忙であるが、前述したように風柱・炎柱両名の専属隠は旧知の仲だ。

それ故半年に一回の頃合いで、実弥と杏寿郎は顔を合わせている。


「おい、長友。今日はこれから隠の集まりがあんだろうがァ。こんな所で油売ってて良いのかよォ」

「……申し訳ございません、炎柱様。主の言う通り私はこれから外出してまいります」

「むう、それは残念だが仕方ない! 内田くんも行くと言っていたあれか」

「はい! 今回は隠の殆どが集結する会合ですので……と言っても、私と彼はひと月に一度は顔を合わせていますけどね」


ではまた—— 長友は杏寿郎に頭を下げた後、やや急ぎ足で玄関に向かって行った。

杏寿郎は隠の姿を見届け、横にいる実弥にじっと視線を向ける。
それはほほう…と感心した物だ。



「……何だよ」

「いや、君も彼の事が好きなのだなと思ってな! 一方通行でなくて良かった!」

「だからおい! その言い方やめろォ!!」

「何故だ? 互いに思い合うのは悪い事ではないぞ!」


………と、一見男同士の情愛を思わせる会話をしている二人だが、あくまでも”主” と”仕える者” としての関係性が非常に良好なのだと言う事を、ただ話しているだけである。


「俺に救われた、だからどうしても仕えたいんだァっつって直談判して来る一風変わったヤツだぜ? 丁度通ってた隠が人事異動で来なくなっちまったから……じゃあ頼むって。ただそれだけの話だ」

実弥はぶっきらぼうな口ぶりながらも、その表情はとても柔らかい。以前、長友は実弥に激励された事がある。


『涙は目から流すだけじゃねェ、心で涙を流すやつだっている。だから泣けねェなんて言うな。お前はそれで良い』


この言葉を貰い、長友は実弥を隠として支えたい。そう強く決意したのだ。



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