第1章 私の異世界転生
「すまない・・・初めての口付けだったから、加減が出来なかった。」
何たるカミングアウト。そうか、初めて。ごめんなさい、私は初めてじゃなくて。今となっては思い出したくもない出来事だけど。
「ルー様って、何歳です?」
「に、21だ。」
私の2歳年上だった。それなのにこの初心さ。やばい、本当に可愛い。あの見た目でこの可愛らしさ。萌える。
「い、嫌だったか?」
「嫌ではなかったです。驚きはしましたけれど。」
「そ、そうか。嫌ではないのか。・・・良かった。」
金髪碧眼の典型的な王子様の見目をしているのに、この余裕の無さ。呪いくらいで離れていくなんて勿体なくない?
「ルー様、お願いがあります。」
「何でも聞こう。」
即答のルー様に、私は笑みが零れる。
「正式に私とお付き合いしてくれますか?」
「正式?私はそのつもりだったのだが、そうだな・・・ちゃんと言ってなかった。遅くなったが、私の恋人となってくれ。願わくば、いつか伴侶にも。」
「ルー様次第です。」
どうせ、私は元の世界に戻れない。だったら、私を大事にしてくれる私だけを愛してくれる人といたい。その相手が王子でも一般市民でもどうだっていい。
「精進しよう。もう一度、口付けてもいいだろうか?」
だから、そんな無表情+耳を赤くして見詰めないで欲しい。ギャップが面白いから。
こんな時にこんな事を言うのはアレなのだけど、身体の関係だけは今まで無くて良かった。あんな浮気者の為になんて捧げなくて良かった。
「カオリ?」
「もう一回は、もう終わりですか?」
「いや、まだこれからだ。」
雰囲気のいい薔薇園の中、暫しキスを楽しんだ私たち。
つい夢中でキスしてしまったことに羞恥心を覚えつつ、部屋に向かう私たち。そう言えば、私はどこで住めばいいのだろう?
「ルー様、私はどこで住めばいいのでしょう?」
「私の部屋だ。」
簡潔な返答。でも、ルー様と相部屋ってどうなの?相手は一国の王子だよ?
「父上にも承諾は得られているし、恋人同士なのだから構わないと思うのだが。」
つまり、同棲みたいな感覚?えっ、同棲?
「それで、可能なら私の仕事を手伝ってくれるとありがたい。どうだ?」
「私が出来ることなら何でも。」
「そうか。では、早速執務室に行こう。」
恋人繋ぎの手に引っ張られ、ある一室のドアを開けた。