第12章 もう一つの選択肢
微かに見える、王妃ではない容姿。
「あの時、反対などせずきちんと話しを聞けば良かったと・・・後悔しておる。悪趣味とは言われたが、全てに贔屓は出来ないからな。すまない。」
「私の方こそ、すみません。ですが、カオリのことは私の命に代えても守りますので。」
ルー様が、私の背を押す。
「え、あ、あの・・・。」
「突然、こんな話しをされて戸惑っているだろうな。だが、それでいい。ルーチェス、私の娘を頼む。ではな。」
王妃様は、その場に崩れ落ちた。その前に、国王様が抱きとめ事なきを得た。
そう言えば、赤女を忘れてた。
再び赤女に視線を戻すと、打ち震えている様だった。さっきから何かを呟いているが、何も変化はない。そして、ルー様が一早く赤女を捕縛し、王城の地下深い牢獄に閉じ込めた。
何の前触れもなく、更に何もすることなく終わってしまった赤女との対峙。私は、この時ほど安堵したことはなかった。もう、二度と同じ事は起こらない。その事が堪らなく嬉しかった。
その後、私たちはあの書物を見に行った。しかし、今まで書かれていた文字は全て消え、真っ白なページだけが残された。
「今度は、カオリが文字を書いてみればどうだ?女神様に伝わるかもしれないし、返事が来るかもしれない。」
「そうですね。今度、やってみます。」
私に前世の記憶はないけれど、助けて貰ったし庇護して貰っていた立場としてお礼文を書こうと思う。そう言うと、ルー様は優しい笑顔を見せてくれた。
「ルー様、今、笑って・・・。」
「きっと、カオリを守ることへの礼かもしれないな。」
私を抱き締め、額にキスするルー様。
ルー様の表情が戻った事で、国を挙げてのお祝いとなった。そして、バッファロー軍団やトラ軍団がルー様に群がるのだ。
その度に、稲光りが立ち込め嵐になる。私は恥ずかしくなり、ルー様は笑顔を浮かべ嬉しそう。
勇猛果敢な令嬢はルー様に群がったが、そんな中でもルー様は私に激甘でイチャイチャしてくる。このまま、令嬢たちの心を折って欲しいと願う私。