第10章 女神の代理人の手腕
私に悪態をついた貴族は、貴族間の繋がりから干されて衰退していったらしい。子に、財務専門の学校へ入学させようとしたらしいが、門前払いされた様だ。その時、周りから失笑も得たらしい。
更に、数日後。
「それで、次は何処にテコ入れ致しますか?」
そう言って来たのは、オリバー様だ。私はキョトンとしたまま、オリバー様を見ている。
「テコ入れ?」
「はい、左様です。願わくば、農業の方も何かお力添えを得られれば有難いのですが?」
えっ、私・・・期待されてる?
「農業・・・。」
この国では、米食はあるものの大半は小麦を食べる。麺だったりパンだったり。元日本人としては、米が食べたいとは常日頃思ってはいた。
それとも、元々の方?雨を降らすとか、肥料の事とか・・・?えっ、何処をどうすればいいの?
女神の代理人である私が祈れば、雨が降ったりするのだろうか?流石に、肥料込みの雨は降らせないだろうし?
「ひ、一先ず、情報を下さい?」
「それでは、今日の午後に農業に関する会議がございますので、そちらにご参加いただけましょうか。」
「か、会議・・・。」
私に理解出来ますかね?つい、ルー様に縋る目を向ければ、援護射撃ではなく、ただ深く頷かれた。
「それは妙案だな。私も参加するから、一緒に聞いて貰おう。」
断われなかった・・・。半泣きになりそうなまま、参加した午後からの会議。作物の発育具合に不具合はない様子。良かった、雨乞いをしてくれなんて言われたらどうしようかと思った。
ホッと胸を撫でおろし、私はただそれぞれの話しを聞いていた。部外者の顔で聞いていた私に、いきなり提案された議題は米食のことだった。
お米なら携帯して、行き先々で調理すれば日持ちもする。それに、お握り・・・塩結びだけでも美味しいし、海苔があればそれだけでもいい。
しかし、この国で海苔を見たことはない。何気に口走ってしまったが故に、急遽、水産業の担当者が招集されて質問する羽目になった。
佃煮も日持ちするだろうし、干物だって食べたい。何より、ご飯に合うお供だ。海苔は存在していたが、そう世間に広まってなかった。
それが、私の提案でコラボすることが決まった。えっ?農業だけの会議に参加したから、ズルいとか思われてた?でも、コラボだから・・・その不満を収めたと?