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【R18夢小説】手に入れたモノを護る為に【HQ/影山飛雄】

第9章 第五話 妊婦彼女


 妊婦用の服なだけあり、身体のラインが分からないワンピ ースだ。
 膨らんだ腹の為の服だから当然の仕様だが。

「ボテ腹の時に着るの楽しみだ」
「お腹……おっきく……」

 まだ膨らんでいない腹に触れながら、顔を赤くするから可愛くてついつい抱きしめて伝える。

「腹がデカくなった伊織、絶対に可愛い。俺の彼女は妊婦彼女だ」
「……彼女……私、飛雄の彼女」

 お腹を擦りながら嬉しそうに呟く伊織の手を引いて、外へ出た。
 早朝でも九月はまだ気温が高く、五時でも蒸し暑さがある。
 伊織の身体に負担がない様に、と俺のキャップを被らせ、ゆっくりと歩き始めた。

「ランニング……しなくていいの?」

 伊織の手を掴んで離さず、ゆっくりとしたペースで歩くので伊織が不思議そうに尋ねてきた。
 そんな伊織の腹を撫でながら、伝える。

「妊婦に激しい運動はさせられねぇからな。流産したら大変だ」
「流産……絶対にやだ……赤ちゃん産みたい」
「だからこれからは伊織は産むまで、激しい動き絶対にするなよ。体育の授業も上手く言って見学しろ」

 言われた伊織はこくんと頷いてくれた。伊織にはどんどん母親としての自覚を持って、生活をしてもらわないとならない。
 自分一人の身体じゃなくなった事に戸惑いはあるだろうが、受け留めて生活をして欲しい。
 幼少時から見慣れている筈のランニングコースの筈なのに、伊織と歩いていると思うだけで初めて歩く場所に感じた。
 片手は俺に握られ、片手は腹に触れて歩く伊織は妊婦にしか見えなかった。
 妊娠の為の服に身を包み、でも十五歳と言う幼い少女でもある伊織。

(可愛い……)

 伊織は元々可愛い奴だったが、彼女で妊婦であると認識したらもっと可愛く見えて仕方ない。
 改めて伊織の顔を見てみるが、睫毛は長く、唇はぷるっとしていて赤めの色をしている。
 整った顔立ちをしていて、贔屓目があるのは否定しないが容姿も良い。
 顔の作りも良く、身体の作りも良い。
 こんな良い女、そうそう見つけられる訳がない。
 そんな女は俺の彼女であり、俺の子供を孕んでいる。早くその腹を膨らませて、子供がいるのを見せ付けて欲しい。

(キスしてぇ……してもいいよな)

 グイッと伊織の手を引っ張り、深く口付けをする。
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