第1章 始まりの合図
ーー少女、狐に説明中ーー
『だからね、私はアニメが見たかっただけなんだよ?』
「そ、そんな……僕、とんでもない事を」
『うん、まあ……で、この世界からは帰れるの?』
「えっと……転生してしまったので、元の世界は……
戻れないというか、出来ないです」
『お、おぉ……そっか』
「ごめんなさい! 僕の勘違いで!」
『いやいや、大丈夫だよ』
つまり、今の状況はこういう事になる。
私は何者かに刺されて死亡。それを見た狐さんが私の願いを叶えるために転生させてくれた。
だけど、狐さんが私の願いを勘違いしてしまい『最遊記』の世界へ転生した……と。
そして、狐さんは私の神社に住んでいる神様という事を説明してくれた。
「あ、あの…本当にごめんなさい」
狐さんは耳まで下げて落ち込んでいる。
困ったな……これじゃ最遊記のアニメが見れないし、私はどうし……た……ら?
『……ねぇ、狐さん?』
「はい……」
『ここって最遊記の世界なんだよね?』
「そ……うです」
『つまり、三蔵達に会えるって事だよね?』
「はい、その通りですが……」
あれ? なら問題はなくない?
むしろ、間近で見れるのでは?
『……転生も悪くないかも?』
「ほ、本当ですか‼︎」
『うん、だから元気だして?』
そう言い私は狐さんを撫でた。
撫でられて嬉しいのか尻尾をパタパタさせている。
そう言えば…
『アニメだと……転生したら大体は能力とか持ってる事があるよね……』
私にもあるのだろうか?
アニメではよくある展開だ。
だが、そんなご都合展開が……
「ありますよ」
『あるんだ……』
即答ですか……流石は神様
そして、狐さんは私の能力について教えてくれた。
私の能力……神社の娘という事もあり『浄化と守りの力』があるらしい。後は『治癒の力』があるらしい。
まあ、見た目も巫女だし能力として問題ないだろう。
それにしても
『どうやって、三蔵達に会えばいいんだ……?
とりあえず、西に歩けば良いのかな?』』
と、言いながら歩き出す。
「あ〜待って下さい!」
狐さんも慌てて歩き出す。
まあ、暫くは西に向かいつつ能力の使い方でも学ぼう。
『狐さん、これからよろしく』
「はい! こちらこそ」
そして私達は歩き出した。
私達を影から見ている者がいる事にも気付かずに……