第5章 黄色い瞳は何を見る(後編)
『黄色い……瞳』
悟空達を襲おうとしている人間は全員、黄色い瞳をしている。それは、街に来る前に見た人間と同じ姿。そして狙いは……
「まーた、俺らがご指名ってか」
そう言う悟浄。周りは囲まれ、今にも飛びかかって来そうな人間にどうしたら良いのか分からなくなった。
その頃、八戒とコンは宿屋でゆっくりとしていた。
「大丈夫ですか? 八戒さん」
「大丈夫ですよ、ありがとうございます」
そんな会話をしていると扉にノックをする音が聞こえ、コンは急いで姿を隠す。八戒が返事をすると、宿屋の店員さんが入ってきた。それは、宿屋の主人の娘さん。水を持って来た彼女に八戒はお礼を言う。
「いえ、ヘイゼル様と一緒に街の方々を救ってくれた方ですから。ゆっくりして行って下さいね」
そう言い部屋から立ち去ろうとする彼女に八戒は質問をする。生き返った宿屋の主人について質問をする。どうやら元気にしているらしく「奇跡ってあるんですね」と彼女も喜んでいた。
「特に変わった所はありませんか? 体調が優れないとか」
念の為、改めて聞く。すると彼女は何かを思い出したようで
「あ、変わった事といえば……瞳の色が黄色がかった事かしら?」
そう言って彼女は扉から出て行った。
「黄色い瞳?……っ?!」
この事に違和感を覚えたが視界がぼやけてふらつく。そして八戒は意識を手放し眠りについた。
コンはと言うと、彼女の発言の違和感を気にしつつ、ミコトの事を考えていた。
「……うーん……」
ミコトはコンと共に行動していた時は妖怪とあまり戦闘をしていなかった。二人の時はなるべく妖怪に襲われない様に行動していたからだ。
「(三蔵一行……ミコトは一緒に行きたいと、会えて嬉しいと思っていたが、心配です)」
きっと今回の様な危険な展開が起こると思ったコン。これからの事を色々と考えると不安になる。
「(あ、そう言えば……彼女について三蔵さん達は殆ど知らないんでしたっけ?)」
と、三蔵達と初めて出会った時の事を思い出す。ミコトは転生した事と能力の一部しか話していない。死んだ理由や能力を得た理由、そして三蔵達を知っている理由は話していなかった。
「(もっと彼女を知って貰おう!……連れて行くって言ってたし、護ってもくれるはずです)」
そう思うコンであった。