第4章 黄色い瞳は何を見る(前編)
ーー三蔵sideーー
ヘイゼル=グロースという死んだ人間を生き返らせる力を持つ男。妖怪から人を救うために来たと言っていたが、他にも何かあるに違いない。しかも、ミコトに興味深々と来た。
悟浄に「どうする」と聞かれたので
「……ハァ……知った事か」
と答える。ミコトの能力について聞けば誰だって興味を持ってしまうと思ったからだ。興味を持った人間に「興味を持つな」と言った所で意味は無い。だから俺はそう答えるしかない。
これから、どうするか考え始めていると悟浄が
「そういや三蔵、お前……ミコトの事、好きなの?」
……こいつは何を言っている?
好き? ミコトを?
先程の抱き寄せた事でそう思った悟浄の薩摩に便乗して八戒もニヤニヤしながら話してくる。ミコトは先程の事を思い出したのか恥ずかしがっていた。
「……買い出しに行くぞ」
そう言い会話を終わらせる。ヘイゼルからミコトを護りたいと思った行動ではある。それが好きに繋がるかは良くわからない。
「(……例え好きだとしても、お前等には言わん)」
言うとしたら、ミコトだけに言う。
そう決めた三蔵であった。