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西に旅して恋をする【最遊記】

第4章 黄色い瞳は何を見る(前編)



三蔵に抱き寄せられた私は目を見開き三蔵へと視線を向ける。彼は鋭い目で男を見ていた。

「そうですね、言う必要はありません」

「つーか、俺らの姫ちゃんを怖がらせないでくらるか?」

ベッドで横になっている八戒と三蔵の隣に立つ悟浄の二人。表情は笑顔だが目は笑っておらず、私でも分かる殺気を放っていた。

「……ウチらは暫く休んどきますわ、お宅さんらもまだ出発出来ひんのやろ? ウチはヘイゼル。
ヘイゼル=グロースや」

「……玄奘三蔵だ」

そう言いながらドアへと向かう、ヘイゼルと名乗った男。三蔵も名前を名乗る。そしてドアをもう一人の男が開けて立ち去ろうとするヘイゼル。扉から出で閉まる直前、私に声を掛けてきた。

「お嬢さん、今度ゆっくりお話ししよーな」

『……出来れば、したくないです』

今度の問いかけは怖いとは思わなかった私は、今の気持ちをヘイゼルに伝えた。彼は苦笑いしながら去っていく。去った後、悟空が「あー! あいつの腕」と言っていたがその意味が分かるのはもう少し後の事だった。

「……西から来た男か……」

三蔵は抱き寄せていた私を離しタバコへと手を伸ばす。色々と疲れた私は八戒が横になっているベッドの片隅に腰を下ろした。

「大丈夫ですか、ミコト」

『こ、怖かった……何かめっちゃ見てたし』

心配した八戒に苦笑いしながら答える。すると悟浄が私に近づき頭を撫でながら三蔵に声を掛けた。

「どーすんだ三蔵、あのヘイゼルって奴…… ミコトに興味深々って顔してぞ?」

「……ハァ……知った事か」

『ご、ごめん……私のせいで』

ヘイゼルに興味を持たれてしまい、これからの旅が厄介になると思った私は三蔵達に謝る。悟浄は「気にすんな」と頭を撫でながら答えた後「そう言えば」と撫でる手を止めた。

「そういや三蔵、お前…… ミコトの事、好きなの?」

その言葉にこの部屋にいた全員が悟浄を見る。「なんで?」と今まで見ていた悟空が口を開いた。

「ミコトを抱き寄せて……なぁ?」

「そうですね……どうなんですか三蔵?」

『〜〜〜〜〜っ!///』

悟浄と八戒がニコニコしながら三蔵に質問。私は今になって抱き寄せられた事を思い出し手で赤くなってく顔を隠した。三蔵は小さく舌打ちをした後「買い出しに行くぞ」と八戒以外を連れて強制的に会話を終わらせた。
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