第5章 黄色い瞳は何を見る(後編)
ヘイゼルが立ち去った後、私達は次の街中向けての買い出しへ向かう事になった。八戒はまだ体力が回復していないので部屋で留守番。心配な私はコンに付き添うようお願いする。
因みにコンは私と二人きりの時は常に姿を見せているが、三蔵達の前ではあまり姿を見せない。
……理由はきっと、大人の都合ってやつかな←
一方、その頃。ヘイゼル達は部屋を出で廊下を歩きながら話していた。
「ヘイゼル、あの三人……多分、悪い奴等じゃない。とても暴走するような奴等には」
ドンッ
男の言葉を遮るように、男の身体に拳をぶつけた。
「口出しは許さへんでガトー。あんたはただ、ウチを守っとればええんや」
「……あぁ、分かっている」
「どないやろうが関係あらへん。」
(所詮、妖怪は妖怪や……ほな、お手並拝見や)
パチンッ
指を鳴らすヘイゼル。その音を合図にこの街の様子が変わる事に三蔵達が気付いたなは暫くしてからだった。
街で買い物中の私達。街は夜の出来事が無かったかの様な賑わい。私と三蔵、悟浄は並んで歩き、悟空は少し前を走っていた。気になる屋台を見つけたのか悟空は立ち止まり私達の方を見た。
「なぁなぁ、八戒これ食えるかな?」
「そうだな、あいつが回復しねぇと出発出来ねえからな」
「おばちゃん、これ10個ちょうだい!」
「お前それ、絶対ぇ八戒の分だけじゃねえだろ……」
悟空と悟浄が屋台の前で話している。三蔵は「早くしろ」と言う。昨日の襲撃を考えると油断が出来ないと言った。
悟空が「大丈夫だって」と笑って返した時だった。
ブンッ!
後ろから包丁が降ってきた。悟空と悟浄は気配に気付き避ける事が出来た。
「っ! あぶねっ!!」
「お、おばちゃん?」
包丁が来た方を見ると屋台のおばさんが包丁を持って何かを呟いていた。
「妖怪は殺せ」
そう呟いていた。おばさんの言葉を皮切りに私達の周りからも同じ言葉が聞こえ始めた。
『悟空、後ろ!』
「!? ……っ!」
悟空の背後から振り下ろされる刀に気付き声を出す。間一髪、回避した悟空。
「妖気も殺気もねぇ、昨日の奴らと同じだ!」
「って、どう見たってそこいらの一般市民じゃねえかよ」
困惑する二人に対して、襲ってきた人間は武器を持ち悟空達に近づいて行く。そして私は彼らの姿を見て気付いた。
『黄色い……瞳?』