第4章 黄色い瞳は何を見る(前編)
司教様と呼ばれている男を窓から見ていた悟浄は
「たった一晩でスーパーヒーローの誕生ってな」
そんな事を言う。悟空は怪我人の治療でかなりの体力を使い寝込んでいる八戒を心配していた。
『大丈夫ですか? 食欲があれば何か買ってこうか?』
「えぇ……すみません」
おでこに当てたタオルを取り替えながら私は八戒に声を掛けた。
「ったく、無茶しやがって……」
「だって、任されちゃいましたもんですから」
「お前、ほんと負けず嫌いよね」
そんなやり取りに私はつい「ふふっ」と小さく笑う。本当に仲良しで微笑ましい二人。
「でもさ、何かわかねーけど皆生き返って良かったな」
「それだよ、それ。て言うか、あの兄ちゃ……」
コンコン
ガチャ
「お邪魔させてもらいます、いやーお疲れさんやね」
悟浄の言葉を最後まで聞く前に扉が開く。そこには司教様と呼ばれていた男と二丁の銃を使う男だった。
「なんやーしんどい事させてもうた見たいで、えろーすんまへんな」
「えろ?」と言って悟空は悟浄を見る。悟浄はこっち見るなと悟空にツッコミをする。
八戒は「すぐに回復する」と返事をする。
そして部屋に入った後、無言で三蔵を見る。
「……なんだ」
「いや……その格好……」
そう言いながら三蔵に近づき
「あんたお坊さんどすかー? それ、法衣ちゅうんやろーええな、エキゾチックやわ」
楽しそうに三蔵に話しかける。そんなやり取りを見ていると、今度は私に近付いてきた。
「そちらのお嬢さんは巫女さんやね。めっちゃ可愛いやないのー」
『えっ、えっと……』
「名前なんて言いますの?」
突然の事でどうしていいか困っていると、三蔵が私の腕を掴み男から引き離す。そして、自負の背中へと私を隠す。
「こいつに近づくな」
「別に何もしておらんよー? お嬢さんが可愛いから色々と知りたいなーおもただけで」
「……聞きたいのはこっちの方だ」
睨みながら三蔵は男を見る。その言葉に悟浄も
「全くだせ、おたくら一体何者よ」
「イントネーションから察するに別の大陸の方ですね」
「すげーな、あの術。あれどうやったんだ?」
八戒と悟空はが男に話しかける。一度に色々と聞かれた男は少し困っていたが、何だが楽しそうな表情をしていた。
「目的はなんだ?」
三蔵のその言葉で男の表情は変わった。