第4章 黄色い瞳は何を見る(前編)
街にいる妖怪は未だに人間を襲い続ける。
逃げ惑う人々、背後から斬りつけ笑う妖怪。逃げる事も出来ず立ちすくむ人に襲い掛かろうとする妖怪。
そんな光景に耐えられなくなった悟空が
「くっそぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
そう言って窓から飛び降りる。雨は止んでいたが道は水溜りとぬかるんだ道。
そんな場所を悟空は勢いより走り、今にも襲われそうな人を助けようとした時だった。
ドンッ!
「ぐわぁぁぁぁぁ!!」
「!?」
悟空の前に男が現れ、妖怪に向かって回し蹴りをする。妖怪は吹っ飛び、それを見た妖怪達が一つの場所へと集まる。
「あれ? あんた昼間の……」
「おばんです」
「おばん?」
悟空が男の言葉にハテナを浮かべていると「知り合いか?」と悟浄が質問する。だが、その答えを聞く前に妖怪達は男が何者なのかと言ってきた。
「こない時間に騒ぎよる礼儀知らずなお人らに、名乗るどうりはあらしませんな」
ドンッ!
そしてまた1人、男が何処からか降りてくる。今度は身長が高く体が大きい。その男は二丁の銃を取り出す。
「行きなはれ」
その言葉で二丁の銃を持った男は素早く動き妖怪を倒して行く。その際、発砲した銃の音が凄まじいほど大きく耳を塞ぐほどだった。
『……うぅ、耳が……』
「なんだ!? あのバケモン見てえな銃は!!」
悟浄が耳を塞ぎながらそう叫ぶ。
耳を塞ぐ私達を他所に、男は次々と妖怪を倒していった。
一通り倒し切った後、悟空が目をキラキラさせながら
「すげーすげー! あいつ強ぇ!!」
悟空の言葉に反応せず男が妖怪の元へ近づく
「大量やないか、ガトー。余してもうたら勿体ないわー」
そう言い、首から下げたネックレスを顔の辺りに持っていく。すると、ネックレスが光だし倒れた妖怪達から青白い光が現れる。青白い光はそのままネックレスの中へと入っていった。
『(今のは……何?)』
見た事も無い出来事に困惑している私。それは悟空達も一緒だった。三蔵は無言で男を見つめていた。
そんな中、生き残っていた妖怪の1人がナイフで斬りかかろうとする。
『……危ないっ!』
私が叫ぶと同時にナイフは振り下ろされた。ナイフは二丁の銃の男の片腕を切り落としたが、男は斬られていない方の腕で妖怪の頭を握りつぶしていた。
これで全ての妖怪は倒し終わり、一段楽……ではない。