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西に旅して恋をする【最遊記】

第4章 黄色い瞳は何を見る(前編)



『えっと……媒体が無かったから』

そう呟くと悟空は「媒体?」と聞いてきた。

『術を発動するのには、術者と式神を繋ぐ物が必要なの。でも、全く無くて……』

「へー」

簡単に説明してみたが、理解してるのか分からない返事をする悟空に悟浄が分かってねえなと言い言い争いになった。
それを見てイラついたのか三蔵の怒鳴り声と「早く寝ろ」という発言で今日は寝る事になった。

嵐と今日の出来事が気になって又もや眠れない私は、皆が起きないようにそっと起き窓際へと向かった。
雨は強く、外の景色は何も見えない。

『……媒体のない式神か』

ぽつりと呟く。
そんな事が可能なの? と考えながら外を見る。

アニメだと、錬金術師や魔法でも何かしらの対価が必要となる事がお決まりだ。
だが、それが無いとなると私の知識は役に立たないな……

「……また、眠れないのか?」

声を掛けられて振り返ると三蔵がいた。
考え事をしていたせいで、全く気づかなかった。

『あ、うん……でももう寝るよ』

「……そうか」

『気にしてくれたの?』

「別にそんなんじゃねぇよ、とっとと寝ろ」

短い会話を三蔵は私に背を向けて自分のベットへと戻ろうとする。
私はそんな三蔵の手をとっさに掴んでしまった。

「……なんだ」

『……気になってたんだけど……』

それは私が気になっていた事。

『どうして、私を連れて行こうって思ったの?』

改めて聞いてみる。
私が転生して力があるだけで一緒に来いとは思っていないから。

『変わった能力だけで私を連れて行こうって納得があまり出来なくて……今まで四人で行動してたのに、私が突然来て……迷惑じゃないの?』

これが私の三蔵に言いたい事。
一緒に行動が出来て嬉しいが、私は四人と比べても弱い。能力があるからって戦闘に慣れている訳でもない。
だから私は三蔵に改めて聞いた。

「興味が湧いたのは本当だ。だがそれは能力だけじゃねぇ、お前にも興味があるミコト」

『私に……興味?』

「あぁ、どうやら俺達の事をかなり知ってるみたいだしな」

それを聞いた私は三蔵を掴んでいた手を離した。
私自身に興味があると言う言葉に驚いたと言う事と

『私の名前……』

「あ?……何ニヤついてる」

『なんか、嬉しくて』

「……早く寝ろ」

三蔵はそう言いベットへと向かい横になった。
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