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西に旅して恋をする【最遊記】

第4章 黄色い瞳は何を見る(前編)



街に着くと、天気は悪いというのにとても賑わっていた。
私達は車から降り、街へと入る。

「宿より先に食い物屋いこーぜ!」

『わっ……ちょっと悟空!?』

悟空に私の手を掴み、人混みへと走っていく。
後ろの方から悟浄と八戒の呆れたような会話が聞こえた気がした。
私は悟空と一緒に食べ物屋を探していると、誰かの帽子が飛ばされているのが目に入る。

「よっ……と」

何処かに飛んで行こうとする帽子を、高くジャンプした悟空がキャッチし、持ち主へと帽子を渡した。

「はい、あんたのだろ?」

「おおきに」

帽子の持ち主はそう言うと大柄な男と一緒に立ち去っていった。
『関西弁だ……』と悟空には聞こえないように呟く私。

バシッ

「勝手にうろちょろするんじゃねぇ!」

「だって飯屋が……」

何処から取り出したか分からないハリセンが悟空を叩く。
悟空にそう言うと次に私を見た。私も叩かれるのかと思っていたら、ハリセンを持っていない手が私の頭へと近づきポンポンと軽く撫でられた。

『えっ……叩かないの?』

「叩いて欲しいのか?」

『嫌です』

「……ハァ……」

私と三蔵のやり取りに八戒がクスクスと笑って見ている。
そんなやり取りをしていたら、急に雨が降り始めた。
「宿でも飯屋でも何でも探せ」と言う三蔵の言葉に私達は走り出した。
雨が降る中、私達を屋根の上から見下ろす2人の男がいた事にも気付かずに

「……ヘイゼル、あれが」

「何や知らん、けったいやわ。ちいとまぁ、見学させてもらいまひょ」

そう2人は言い、私達が宿へと向かう姿を眺めていた。

外では雷が鳴り、三蔵の言う通り嵐になっていた。
何とか宿を取った私達は可愛らしい店員さんに案内され「何かあれば私か父に」と言って立ち去った。

「さっきの式神が気になりますか?」

八戒はそう言いながら三蔵にコーヒーを渡す。

「あれば式神に見えるか?」

そう返事をする三蔵に「どうでしょう」と八戒も少し悩んでいたが、「そう言えば」と言って八戒は私に視線を向けた。

「ミコトは式神じゃないって言ってましたね、どうしてですか?」

と聞いてきた。三蔵もあの時の私の発言は気になっていたらしくこちらを見てくる。
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