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西に旅して恋をする【最遊記】

第3章 人間と妖怪


ーー三蔵sideーー

夜も更けて来た頃
ミコトがそっと起きて何処かに歩き出した。

歩き出したといっても、そこまで離れた場所までは行かない様子

「(……これからの事を考えてるんだろうな)」

そんな事を考えながら近づき声を掛ける。
ミコトは驚き、俺の方へ振り向く。

「……勝手に出歩くな」

面倒事は嫌いなんだ。
と思のに、何故か気になってしまう自分がいた。
能力を持った奴だから? 理由ははっきりしない。

そんな事を考えていると

『ご、ごめんなさい……』

と謝ってきて

『も、もう寝ますね……』

そう言って立ち上がるミコトの表情は落ち込んでいていた。

転生して妖怪のいる世界で生きる事になり、三蔵一行と一緒に行動しろと言われたら色々と思う事があるのだらう。

「(……ハァ……俺は何やってんだ)」

そう思いながら、ミコトを呼び止め腕を掴み歩き出す。
『もう寝ます』と言っていたが、強引に散歩へと連れ出した。
隣で歩くミコトを気付かれないようにチラッと見る。
どう見ても普通の女だ。
そこで俺は思った。

「……お前は妖怪が怖くないのか?」

そう問う。
転生前、ミコトがいた場所には妖怪はいないと言っていた。
だからこそ、どう思っているか気になった。
もしかすると俺達の事を話すかも知れない時が来ると思ったからだ。

『確かに怖いと思う、けど…
人を襲わない優しい妖怪もいるって知ってるから、そこまで怖くないかな』

そう答えた。
人を襲わない妖怪……?
まさか、悟空達の正体を!?

『知ってたよ、妖怪だって。
私は悟空達の事は怖いなんて思わないよ』

ミコトは色々と俺達の事を知っている。
そんな気がしたが、今はその答えで充分だ。

何故か安心した俺はタバコを取り出し吸い始める。

『……心配してくれてたの? これから一緒に旅をするから』

と言われ、胸が少しざわつき ミコトに背を向けて歩き出す。

「……してえね、戻るぞ」

心配? してないと言ったら嘘になるが、絶対に口にしない。俺らしくない。
なんで連れて行こうとしてんだ俺は……

『えぇー……って、待ってよー』

「……ハァ…早く来い」

めんどくせぇ……なんなんだよ。
このモヤモヤした気持ちは。

そう思いながらため息を吐く三蔵であった。
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