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西に旅して恋をする【最遊記】

第3章 人間と妖怪



「……勝手に出歩くな」

『ご、ごめんなさい……』

「…………。」

『(これは……怒ってるよね)』

注意された後、沈黙が続く……
三蔵の顔をチラッと見てみると明らかに機嫌が悪い。
勝手に出歩いた事が相当、迷惑だったのだろうか。

『も、もう寝ますね……』

沈黙に耐えられなくなった私は立ち上がり、皆が寝ている場所へと戻ろうとする。
まだ、眠れそうには無いが無理にでも寝るしか無いだろう……

「……おい」

『……?』

呼び止められ振り返る。
そして、三蔵は私の腕を掴み歩き出す。

『あの……私、もう寝ますから』

「……チッ…眠れないんだろ? なら散歩に付き合え。
後、敬語はやめろ」

『分かり……分かった』

口調も行動も少し強引だったが、三蔵の気遣いが嬉しくて散歩をする事を受け入れた。
そして私は三蔵の隣に並んで歩く。

「……お前は転生者だったな」

三蔵は歩きながら私に

「お前は妖怪が怖くないのか?」

そう聞いてきた。

『怖い……妖怪が?』

「今、この世界では妖怪が人を襲っている」

『そうだね』

「転生してこの世界に来て、怖くはねぇのか?」

確かに私の世界には妖怪はいない。
だから実際に初めて見た時は怖かった。
まあ、自分の能力で何とかしたが。

『確かに怖いと思う、けど……』

私は知っている。
この世界には怖い妖怪だけじゃなくて

『人を襲わない優しい妖怪もいるって知ってるから、そこまで怖くないかな』

そう三蔵に答える。
すると三蔵は立ち止まり私の方を見る。

「……あいつらの事を…!」

『知ってたよ、妖怪だって』

三蔵が質問する前に答え、続けて

『私は悟空達の事は怖いなんて思わないよ』

だってアニメで見てたから。
どんなキャラで、どんな性格かを

「……そうか」

三蔵はそれだけ言い、タバコを取り出し「フゥー」っと煙を吐く。
そんな姿を見て私は

『……心配してくれてたの? これから一緒に旅をするから』

そう質問すると、私に背を向け

「……してねぇ、戻るぞ」

そう言って三蔵は一人歩き出す。

『えぇー……って、待ってよー』

「……ハァ…早く来い」

ため息を吐いていたが立ち止まり、私が隣に来たのを待ってくれた。
隣に来たのを確認すると歩き出す。
そんな三蔵の表情は不機嫌ではなかった。


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