第18章 問題16 宇宙へどかん!~救出編~
「会社)カンパニー)?」
首を傾げた新八に坂本は頷いた。
「そうじゃ。わしらこの船使ってデカい商いやっちょる」
「空飛ぶ会社――!」
きゃーきゃーと喜ぶ優姫に手を引かれ、坂本は船の中に入りながら新八に説明を続けた。
一応優姫にも言っているのだが、非常に珍しい様でそこら中を見て楽しんでいて話は耳に入っていなさそうだった。
「色んな星々回って品物ば売り買いしちょる……まァ、貿易じゃ。じゃが近頃宇宙は物騒じゃきに、自衛の手段としてこーして武装もしちょる訳ぜよ」
「へェ――凄いや!坂本さん、アンタただの馬鹿じゃなかったんですね」
さらっと毒吐いた新八に坂本は笑いながら言った。
「泣いていい?」
「ほれ、これでいいか?」
「ありがと――」
すぐ近くで優姫と陸奥の声がして見ると、少し大きめの樽に水を入れて持ってきたらしい。
「キュー!」
それを見て、今まで暑さでぐったりしていたシンが目を輝かせて飛び込んでいた。大量の水にシンは満足そうに泳いだり飲んだりしていた。
「良かったね――、シン」
「キュー」
その微笑ましい光景を見、遠くを見ながら坂本は再び話し出した。
「わしも昔は銀時やヅラ達と天人相手に暴れ回っっちょったが、どーにもわしゃ戦ちゅーのが好かん。人を動かすのは武力でも思想でものて、利益じゃ」
「ほれ、おんしも水分取るぜよ」
コップに水を入れて陸奥は優姫に手渡していた。笑顔でコップを受け取った優姫は水を飲んでいる。
「商売を通じて天人・地球人双方に利潤をもたらし関係の調和ばはかる。わしゃ、わしのやり方で国を護ろうと思ってのー。ヅラはヅラで社会制度ごと変えよーと気張っちょるよーだし、高杉の奴は幕府倒すタメ、色々画策しちょるときーとる。みんなそれぞれのやり方でやればいいんじゃ!」
晋助の名前を聞き、優姫はピクッと反応して坂本の方を見た。
「どないしたき?」
急に表情の変わった優姫に陸奥は声を掛けた。優姫はすぐに大きく首を左右に振り返事をした。
「んーん、何でもない――」
へにゃっと笑顔で答えた優姫を見ていると悲鳴が聞こえてきた。
二人同時に悲鳴が聞こえた方に顔を向けると、イカの足みたいなモノに坂本を含む数名が連れ浚われていた。
「あれは砂蟲」
新八の元まできた陸奥は落ち着いた表情で言う。
