第24章 問題22 選択の天秤は何時でも酷である
「優姫!頼むっ!行かないでくれっ !! 」
プロペラの音にかき消されそうになったけれど、優姫の耳に聞こえてきた十四郎の声。
自分を求める言葉に優姫は晋助に抱き着いたまま、十四郎の方へ顔を向けた。
晋助を選んでしまった時点で、もう十四郎を含め真選組の皆や万事屋と一緒にいる事は出来なくなってしまったのだ。
江戸を離れると言うのはそう言う事だ。
それがどれだけ辛いかを知った上で、晋助を選んだのは優姫自身の意思である。
「土方にーちゃん……」
両方を選ぶ事は出来なく、天秤にかけたどちらかだけしか選べないのが現実。
十四郎に不満はない。屯所だって万事屋だって大好きでずっと居たいと思う程である。けれど、紳助と一緒にいたいと心が思い、行動してしまったのだ。
みんな一緒、はご都合主義だ。
自分が何時までも子供でいられない様に、現実は何時だって残酷である。
十四郎の事を見るなと言う様に晋助の胸元に抱き寄せられ、優姫は静かに目を閉じるのだった。
(2022,6,27 飛原櫻)