第17章 問題15 宇宙へどかん! ~ハイジャック編~
すたすたと新八の方まで近寄ってきた坂本だったのだが、思いっきり船酔いして今にも吐き出しそうになっていた。
吐瀉物なんて吹きかけられたらたまらないと新八は悲鳴を上げていた。
「アンタ船好きじゃなかったの !? 思いっきり船酔いしてんじゃないスか !! 」
怒る新八に青白い顔で坂本は言う。
「いや、船は好きじゃけれども船に弱くての~」
「何その複雑な愛憎模様 !? 」
坂本が役立たずと分かった途端、神楽と銀時が舵を掴んだ。
「新八もういいから私に任すヨ !! 私文集に将来の夢パイロット書いたヨ」
「オメーは引っ込んでろ、もういい俺がやる!普通免許持ってっからこんなモン原チャリと同じだろう」
「嫌ッスよ!アンタらに命預けてたら何回転生しても足りねーよ!」
神楽に握られているのは相変わらずのパイロットだ。
「これだけじゃねー事だけは確かだよ!」
「パイロットから頭離せェェェ !! スイマセンパイロットさん」
素早いツッコミが終わってから皆バラバラに舵を探し出した。その中、ちらっと外を見た銀時が慌て叫んだ。
ぎゃーぎゃーと舵を取り合う万事屋を見て、優姫は楽しそうに手を挙げて言う。
「私も運転してみたーい」
「オウオウ!素人がそんなモン触っちゃいかんぜよ」
船酔いが多少回復した坂本は歩きながら言う。
「このパターンは三人でいがみ合う内に舵がポッキリっちゅ~パターンじゃ。それだけは阻止せねばいかん!」
が、次の瞬間瓦礫に足を引っかけた坂本は派手に前に転び倒れた。
その手には折れた舵を握りしめて。
「アッハッハッハッハッそーゆーパターンで来たか!どうしようハッハッハッハッ !! 」
「アッハッハッじゃねーよ!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ !! 」
舵を失った船は引力に逆らえずに真っ逆さまに星へ落ちていくのだった。
(2007,9,1 飛原櫻)