第17章 問題15 宇宙へどかん! ~ハイジャック編~
そう話している二人なのだが、実際は料理を食べまくっていて言っている事とやっている事が矛盾していた。
「台無しなのはお前らの人間性だよ」
素早くツッコミを入れてから新八は優姫に尋ねた。
「優姫ちゃんはシン屯所に置いてきたんだよね?」
「んーん」
優姫は大きく首を振ってからカバンの中からずるりとシンを取り出した。
「エェェェェェェ !? 」
新八が驚いた様子で見ている中優姫はにこっと言う。
「『ぬいぐるみです』って言ったら通ったの――」
にこにこと説明した優姫とシンを見ながら新八は呆れかえって呟いた。
「ぬいぐるみって…………凄い涎垂れてるんだけれど……」
「わ――キレイだー」
定春定春言っていた筈の二人が窓の外に見える地球を見ているのを見て、我慢出来る訳がなく新八はすかさずツッコミを入れた。
「『わー』、じゃねーよ!キッチリエンジョイしてんじゃねーか!なんだオメーら!」
「おトイレ行ってきまーす」
ぱたぱたとトイレへ走って行く優姫の後ろ姿を見て、新八はこれ以上無い位に溜息をついてしまうのだった。
◆
「あれ?定春だ――」
トイレから出てくると丁度同じように男子トイレから出てきた男性の頭にかぶりついている定春を見て言った。
「定春――。神楽ねーちゃん心配してたよ――?」
定春に話しかけているとばっくりと頭をかぶりつかれている男性は顔色悪く言う。
「ん?嬢ちゃんどうしたけんに――?あ――気持ち悪いの――」
男性に話しかけられた為優姫は十四郎に言われた事を思い出すのだった。
『良いか優姫。旅行先で知らない奴に話しかけられても話したり着いてくんじゃねーぞ』
「嬢ちゃん?」
「ん――っと…………」
この場合はどうするべきなのか考え込んだのだが、よくよく考えると自分の方から(定春に)声を掛けたのだ。
(いっか)
「おにーちゃん顔色悪いけど大丈夫――?定春も噛みついてるし」
「ははは、さっきから何を言ってるに――。わしの名前は坂本辰馬じゃ。定春じゃないじゃきー」
へらへらと笑って言う坂本の頭にかぶりついて離れない定春の事をじーっと見ながら考える。
(これ……定春じゃないのかな……)
どう見ても定春なのだが目の前にいる坂本は(自分の事を)定春では無いと言っている。