第4章 問題2 煙草よりもチュッパチャップス食べて
「びこ………鼻骨から何か生まれる !! 」
「生まれるかァ!」
ぐわっとツッコミを入れた晋助の声に奥から続々と人が出てくるのだった。
「高杉様、一体どうしましたか !? 」
「あのクールな高杉様がツッコミなど……」
「おい、また子。あの子供は……」
皆鼻を押さえながら悶え苦しんでいる優姫を見て、不思議そうにまた子を見た。
「いや私も今見たばっかりで……。晋助様が脇に抱えて連れて帰ってきたみたいっスけれど……」
「拾った」
「「「「「「 拾ったァ !? 」」」」」」
我を取り戻したのか煙管をくわえながら言った晋助に皆大声を出した。
「拾ったって晋助様っ !? 」
「空から降ってきて後付いてきたから連れて帰ってきただけだ」
ぷかー、と煙を吹き出しながら落ちついた表情で言う晋助に皆困りながら言う。
「しかしとてもじゃないですが戦力になるとは…………」
「それに変な服来ていますし……」
「俺が拾って来た言ってるんだ。文句ある奴ァ出てこい」
ぎらっと殺気だった目で言われ皆が黙った頃、顔面激突の痛みが治まった優姫が晋助の事をじーっと見上げているのだった。
「……なんだ」
口から煙を吹き出した瞬間、優姫は慌ててカバンの中を漁り出す。
「今度は何を出すつもりだ……?」
晋助は顎下の方でちらちらと動くモノを見て言った。
「何だそれは?」
「チュッパチャップス !! 」
「ちゅっぱ……?」
優姫は一生懸命に背伸びをしながら言うのだった。
「煙草は身体に悪いから吸っちゃいけない、っておじーちゃんが言ってたんだよ!お口淋しいのならこれあげる」
晋助は神妙な顔でチュッパチャップスを受け取るとギロっと優姫を見下ろす。
「あああああの子……あんな事して高杉様に殺され……」
「なんて命知らずな……」
奥の方で怯えながら様子を伺っている人達の事など全く気にせず、優姫は晋助の事を見上げている。
本当なら今すぐにでも切り捨ててやりたかった。
が、見上げてくる優姫を顔を見てそれが出来なかった。
優姫はあり得ない程期待いっぱいの眼差しで自分の事を見上げているのだ。
「………………」