第4章 問題2 煙草よりもチュッパチャップス食べて
そんな青年の事を黙って見上げていると青年は何かを取り出して言う。
「お前……これは……」
「んー?」
優姫は青年の持っているモノを見て首をかしげて言った。
「何それ」
「何それってコンド……ゲフゲフッ !! 」
一人咳払いをした青年を見て優姫は思い出した様に言った。
「あ、おねーちゃんがね『世の中物騒で何があるか分からないから、これは常に持っていきなさい』って言ってくれたのだ」
にこにこと全く悪気無く言い切った優姫に青年は呆れ顔で呟く。
「……どんな姉だ」
◆
「俺はもう行くからな」
すくっと立ち上がって歩いていく青年の後を優姫は急いで追いかけた。
「何だ……」
いきなりついてきた優姫に青筋を立てながら見下ろすと、にこにことした表情で言うのだった。
「おにーちゃん何処行くの?」
「ア?何処に行こうが俺の勝手だろうが」
そう言って歩幅を早くすると優姫は慌てて早足になって付いてきた。
「あのね、私日直だから学校帰らないといけないの」
「だったらさっさと帰れ」
冷たく言い放つとしゅん、とした声色の返事が返ってくるのだ。
「でも此処何処か分からない……だからお家にも帰れな……」
うぇ、と小さい泣き声を聞き、青年は慌てて言う。
「おい、泣くな。死んでも泣くな。誰かに気付かれたら面倒だろうが」
「……だって……だって……日直…………」
今にも大声で泣き出しそうな優姫を急いで脇に抱えると、青年は猛ダッシュするのだった。
◆
「此処何?」
数十分後、今にも崩れ去りそうなあばら屋へ連れて来られ、優姫はきょろきょろと見回すと再び涙目で言った。
「学校じゃな……」
「泣くなって言って……」
「晋助様!その子供は一体……」
「あ?」
「う?」
急に女性の声が聞こえ優姫は抱きかかえられたまま奥の方を見た。
「わ――綺麗な人だー。おにーちゃんの恋人?」
へらっと悪気無く尋ねると女性は顔をぼん、と赤くして言うのだった。
「えっ……えぇ !? 」
「ちげーよ、仲間だ」
きっぱりと否定した晋助に優姫は言った。
「違うの?おにーちゃん格好いいからモテそうなのに」
にこ、と言った途端晋助はぼろっと優姫を落とした。
いきなりの事に何の対処も取れずべしゃっと地面に激突した優姫は鼻を押さえながら言う。