第4章 問題2 煙草よりもチュッパチャップス食べて
晋助は未だ煙を出している煙管とチュッパチャップス、そして今か今かと期待の眼差しを向けている優姫を見比べ、ガリガリと頭を掻いてから煙管の中身を地面に捨てるのだった。
その行動に皆目を見開き、何も言えなかった。
あの晋助があんな小さな子供の言う事を聞いている、あり得ない。
そんな視線を無視し、晋助はチュッパチャップスの袋を取ってから優姫をちらっと見るのだった。
「それ飴だよ、コーラ味。いっぱい買ってもらったから一つあげる」
もう一度にこっと微笑んだ優姫を見て、チュッパチャップスを咥えた晋助は肩に手を回すと言った。
「良いモン見せてやるから付いてこい」
◆
「わ――、すごーい」
優姫は晋助に案内され、あばら屋の最上階に来て楽しそうに走っていた。
窓の外を見て優姫はにっこり笑顔で言った。
「空に変なのいっぱい飛んでる」
空に浮かぶ船を見てそう言い切った優姫に晋助は答えた。
「ここは選ばれた者しか入れねェ部屋だ」
「選ばれた者ー?」
窓の外を興味津々に見ていた優姫は振り返って、首を傾げる。意味が理解出来ていないのを理解している晋助は、優姫の所まで来て床に膝をついて肩を抱いて言った。
「あれは『天人』つー宇宙から来た悪人達だ」
空に浮かぶ船や道路を走る車を指さしながら説明を続ける。
「奴等は急に地球にやってきてやりたい放題やってやがる侵略者共で、俺達はあいつらを地球から追い出す活動をやってるんだ」
「あれ悪者なんだね !! それで……えっと?」
優姫が首を傾げたのを見て晋助はふっと笑って言った。
「俺は晋助。高杉晋助だ」
「私はね、優姫」
へらっと微笑んで言った優姫の頭を撫でてから、晋助はとある場所を指して言った。
「あそこにいる奴等は地球人の癖に天人に見方付いた裏切り共だ」
「あそこにいる人達地球嫌いになっちゃったの?」
「国の為だなんだ言って天人の言いなりになってる駄目な奴等だ、それで優姫」
「なーに?」
にこにこと笑顔で見てきた優姫を見て、晋助はにぃっと笑って言うのだった。
「俺達は天人から地球を取り戻す攘夷志士って言う正義の味方だ。あの裏切り共達は真選組って言う」
「うんうん」
「テメェはあそこの真選組の奴等と仲良くなって、奴等の情報を仕入れてきて欲しい。出来るな?」
