第16章 問題14 おっきくもふもふ
「土方さんも見てみたいと思いやせんか?耳と尻尾の生えた優姫の姿を」
「………………」
一瞬半獣化した優姫の事を想像し、黙ってしまうと総悟はさらっと言い切る。
「きっと優姫だったら似合いますぜィ。襲いたくなる位に」
「総悟ォォォォォォォォォォ !!!!!!!! 」
刀を振り回して庭へ飛び出して行く十四郎と、それから逃げる総悟の姿をシンは眠そうな表情で見るのだった。
◆
「あ、元に戻った――」
日が傾き始めた頃、元の姿に戻ったシンを見て優姫は言っていた。座布団の上で気持ちよくヨダレを垂らして寝ているシンの姿は間違いなくもふもふの動物の姿だ。
「これで一段落だな」
ひょこっと顔を覗かせて言う銀時を見つつ優姫は残念そうに呟いた。
「あーあ、元に戻っちゃったね――」
ぐしぐしと頭を撫でているとパチッと目を覚ましたシンがぴょんといつもの場所に飛びついた。
「やっぱりシンはその姿で其処にいるのが一番似合いますね」
にこっと微笑んで言う新八の目には優姫の頭の上に飛び乗り、満足げな表情で尻尾を振っているシンがいるのだった。
「シンお帰り――」
優姫の声にシンは嬉しそうに一声鳴いた。
「キュー」
◆
数日後……。
「エェェェェェェェェェ !? 」
たまたま縁側を歩いていた十四郎は優姫の姿を見るなり大声を上げた。
「土方にーちゃんどーしたの?」
「おまっ……その耳っ !? 」
わなわなと震えつつ優姫の頭を指さし、理解したのか笑顔で返答された。
「耳?あ、えっとね」
ぽこっと頭に生えていた耳を取ると笑顔で優姫は言う。
「猫耳カチューシャ総悟に貰ったの――。ねーシン」
足元にいたシンに言うとキュー、と鳴いた。
「シンとお揃いなんだよ――。……土方にーちゃん?」
様子のおかしい十四郎の事を見ていると、角からやってきた総悟を見るなり刀を抜いて怒鳴った。
「総悟テメェは紛らわしい事してるんじゃねェェェェェェェ !!!! 」
「やっべ、バレたか」
足早に逃げて行く総悟の事を十四郎はマッハで追いかけて行き、その場に取り残された優姫は不思議そうに首を傾げるのだった。
「変なの。あ、お散歩行こうかシン」
「キュー」
(2007,2,14 飛原櫻)