第16章 問題14 おっきくもふもふ
しかし着物を着せられた途端、嫌だと言わんばかりに暴れるシンに優姫はめっ!、と言いシンはしゅんとおとなしくなるのだった。
「やっぱりシンアルね。優姫の言う事おとなしく聞いてるアル」
「取りあえずこのままだと困りますよね。どうするんですか?」
新八が尋ねる隣でぼふっと優姫に抱きついているシンを見て銀時はギリギリと拳を握りしめながら呟く。
「シンと分かっていても怒りがこみ上げてくるぜ……」
「まあ男の子ですからね」
普通に言った新八は優姫とシンの様子を見て、他と比べ普通な表情でいる総悟の事を不思議に思い尋ねてみる。
「沖田さんは全然慌てたりしないんですね。まあ相手は人になっているとは言えシンですからね」
「銀ちゃんは大人げないアル」
ぴったりくっついて離れないシンを相手に、格闘する銀時の姿を見て呆れ言う神楽に総悟はさらっと言った。
「まァ原因俺ですからさァ」
「「「「「 は? 」」」」」
びたっと全員の視線が集まるとへらっと総悟は言う。
「いや実を言いますとさァ、土方さん撃退用に作った薬が綺麗さっぱり無くなっててさ」
「俺撃退用って何やってるんだお前はァァァァァァ !!!!!! 」
ガタッと勢いよく立ち上がり怒鳴る十四郎を見つつ総悟は話を続ける。
「良い薬品手に入ったからそれ使って土方さんを亡き者にしようと企んだんですがさァ、うっかり離れてる間にシンに飲まれちまったみたいですさァ」
「総悟ォォォォォォォ !! 」
怒鳴り散らす十四郎を横におき、新八は納得した表情でシンを見た。
「なるほど。アレ薬が原因だったのですね。でもなんの薬作ったんですか?」
「犬になる薬」
即答してから総悟は言い加える。
「まあ正体不明の動物ですけど、シン犬科の動物だったみたいで犬が犬になる訳にもいかずに、人間になってしまったんだと思いますさァ」
「シン――、つまみ食いしたら駄目だって何度も言ってるでしょうー?」
「で、元に戻るのか?」
銀時が尋ねてみると総悟ははっきりと頷き言う。
「まあ試作段階でしたし多分一日で効力は切れると思われますさァ」
「元に戻っちゃうだって。残念だねー」
よしよしと頭を撫でる優姫を見守りながら落ちついた十四郎は座り直して言う。
「テメーはいつもんな事してるのか」
「まあ暇つぶしに」