第4章 問題2 煙草よりもチュッパチャップス食べて
「そうなの?」
「『そうなの?』じゃねぇ。つーかなんなんだテメェは」
相変わらず刃物を突きつけた状態で言う青年を見て、今度は刃物を見て優姫は黙り込む。
「あ?なんだ刀に怖じけ付いたの……」
か?、と言い切る前に優姫がやった行動に青年は目を見開いた。優姫が突然刃先に人差し指を当てたと思ったら、そのまま横に動かしたのだ。
途端ぷつ、と指先が切れ血がダラダラと流れ出た。
「お……おい……?」
いきなりの行動に目を丸くしながら声を掛けた瞬間、優姫が涙目で叫んだ。
「痛いィィィィィ !! 」
「当たり前だろう !何してんだテメェ!」
「だってぇ……玩具かと思ったんだもん」
えぐえぐと泣きながら見上げて言う優姫に、青年は呆れ顔で刀をしまって言った。
「ほれ貸せ」
「?」
ひょいっと優姫の手を取ると青年は当たり前の様に人差し指を咥えた。
「舐めとけば勝手になお……」
「私の指食べたァァァァァァァァァ !! 」
「アホかァァァァァァ!」
青年はぐわっと怒鳴りつけるのだった。
◆
「えっとバンソコ、バンソコ」
数分後やっと落ちついた優姫は自分のカバンの中を漁りながら言う。
「確かカバンの中におねーちゃんが『キューキューセット』入れてくれた筈」
がさがさとカバンを漁りながら独り言を言う優姫の事を、未だ膝の上に乗せたまま青年は黙って見ていた。
警戒心ゼロの異質な存在である少女だ、と思いながら。
「あった――!アンパン○ンのポーチ!」
優姫はでかでかとアンパン○ンの絵がプリントされているポーチを目を輝かせながら取り出して言った。
「あんぱ……?」
言っている意味が分からず見入る様に見ている青年を他所に、優姫はポーチを開けてバンソコを取り出すと言った。
「じゃーん!ドラ○もんのバンソコー」
ドラ○もんのプリントがしてあるバンソコをぺたっと指に貼り付け、優姫は満足そうな表情をするのだった。
「他に何入ってんだ?」
ひょいっと優姫の手からポーチを取ると優姫はぱたぱたと暴れながら言う。
「わーん、ドロボー!」
「こんな訳の分からないもんいるか、中見るだけだ」
青年はそう言いながらポーチの中身を漁っていてとあるモノを見つけてびしっ、と固まった。
「?」