第15章 問題13 江戸城パニックぱすにっく
「お姫様?」
近藤と二人縁側で茶菓子を食べているといきなり話をされたのだった。
「将軍様には妹姫様がいてな、将軍様と同じくらい大切な方なんだよ」
近藤が指さす江戸城を優姫はじーっと見て呟いた。
「……お姫様……」
江戸のトラブル娘
第13話 江戸城パニックぱすにっく
「今日は将軍様の警護の為将軍様をお迎えに江戸城まで向かう。将軍様に何か遭ったら俺達の首が飛ぶから覚悟しておけよ」
会議室の前で近藤の説明を聞いた優姫は何か思いついたらしく足早に走って行くのだった。
◆
「……お城ひろーい」
江戸城内に入った優姫は笑顔でそう言った。ぽてぽてと廊下を一人歩いているとばったり出逢った女中が優姫の姿を見て大声で叫んだ。
「侵入者ァァァァァァ !!!! 」
「大変、見つかっちゃった !! 」
優姫はシンを抱きかかえて足早に走って行った。
「侵入者を捜せ!将軍様とそよ姫様の所へ急げ !! 」
近藤の指示で隊士達がバタバタと江戸城内を走り回っている。場所が場所であり、緊迫した空気が続いている。
「で、侵入者の外見は?」
土方に尋ねられると女中ははっきりと答えた。
「見た事も無いもふもふって感じの動物連れた小さな女の子です」
「「「 ………… 」」」
その一言に近藤達は固まる。
そんな外見に当てはまる少女が一人だけ身近にいるのだから。
「…………優姫……?」
ダラダラと冷や汗を流しながら近藤は言った。
「まさか優姫ちゃんが此処にいる訳ないじゃん。彼女ちゃんと屯所に残して……」
するとこちらに向かってバタバタと走ってきた山崎が慌てて言ったのだ。
「局長!どうやら優姫ちゃん江戸城に侵入したみたいです !! 目撃者がいました!」
「あの馬鹿娘がァァァァァァァァ !!!! 」
江戸城内に十四郎の怒鳴り声が響くのだった。
◆
「えっとえっと……」
パタパタと足早に走る優姫は目的の部屋を一生懸命に探していた。
「何処にいるのかなぁ……お姫様」
そう言っていると前後からバタバタと人が走る音が聞こえ、逃げ場の無い優姫は慌てふためいた。
「わぁたいへっ…… !? 」
すると右側の襖がすっと開き、優姫は引き込まれた。
バタバタと走って行く音が遠ざかると後ろからふんわりとした声がする。