第14章 問題12 ご自慢ペット対決
「ああ――っとこれはっ…… !! 」
司会者の叫ぶ先で銀時が定春に噛みつかれていた。
それを見てから優姫は何事も無かったかの様に、まだ走りだしていないシンに向かって声を掛ける。
「シン行ってきて――」
「キュー」
優姫からの合図を受け、シンは素早く骨に向かって走り出した。
その間も銀時は定春に攻撃されているし、エリザベスが豪速球で走っていて、何度かちらっとオッサンの様な足が見えていたりてんわやんわだ。
完全に負けそうである定春に新八が慌てていると、緊張からやっと落ちついた神楽が傘を使って銀時を投げ飛ばすのだった。
すると定春は噛みつかんと言わんばかりに銀時に向かって大爆走する。
「これは坂田さん、定春くんが自分に食らいついてくるのを利用してエサになった!」
やっと試合らしい試合になって司会者は声を上げて実況した。
「猛然と駆ける定春くん !! しかしエリザベスちゃん!既に骨に手を……」
「あれ?シンが何処にも居なく無い……?」
シンの姿が何処にもいない事に気がついた新八が声を漏らしていると、木刀を使ってエリザベスを銀時が押さえつけていた。
「豪華賞品は渡さん」
にぃっと笑って言う銀時の首を、後を追ってきた桂が銀時の首を締め付けながら必死に言っている。
「エリザベスを離せェェェ !! 豪華賞品は俺とエリザベスのも……」
「あ」
そんな事を言っていると桂の頭を噛みつきもう勝負はグダグダなのだった。
「てめーらよォ !! 競技変わってんじゃねーか !! 頼むから普通にやってくれェ !! 放送できねーよコレ」
司会者が青筋を立てて怒っていると突如低いオッサンの声が聞こえるのだった。
「あ――――もういいっスわ~~なんかだるい」
するとエリザベスの口の部分から人の手がゴソゴソと出てきて皆唖然とするのだった。
「もう帰るんでちょっと上どけてもらえますぅ?」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛コレは……」
「嘘だろ……エリザベ……」
ここで放送が止められて皆が驚き慌てふためいている中、優姫の所へひょいっと戻って来たシンの口にはしっかりと骨がくわえられているのだった。
「えへへ、シンの勝ち―――」
優姫は嬉しそうにそう言った。
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