第12章 問題10 攘夷浪士
しかしあまりにも幸せそうに眠っている優姫の事を見ると、今日見た事は夢だったのかもしれないと菊は思って首を横に振った。
(こんなに良い子が攘夷浪士の筈ないわね)
そう自分を納得させると菊は笑顔で言った。
「いえ、やっぱりなんでもないです」
「そうか?またコイツが無茶したりしてたりしてるんじゃねーんだろうな?」
愛おしそうに優姫の事を見て言う十四郎に菊は笑顔で答えた。
「大丈夫ですよ。最近は屯所の仕事も手伝ってくれますし良い子ですよ優姫ちゃんは」
「そうか、なら良いんだがな」
灰皿に煙草を押しつける十四郎の姿を見てから菊は頭を下げて言った。
「お休み前に本当に失礼しました」
さっと障子を閉めてから立ち上がった菊は昼間の事が頭から離れないのだった。
「優姫ちゃんが攘夷浪士……そんな訳ないわよね」
菊は絶対に違って欲しいと願い縁側を歩いていった。
(2006,10,8 飛原櫻)