第12章 問題10 攘夷浪士
笠を上げながら言った桂は自分にしがみついている優姫の事を見て言うのだった。
「それよりも何故優姫殿とお前が一緒にいるんだ?彼女は真選組の娘だぞ」
「ソイツはァ俺の姫だ」
クク、と笑いながら言った晋助の言葉に桂はすぐに理解したのか驚いた表情で言う。
「優姫殿も攘夷浪士だと言うのか?全くその様には見えないが……」
「まァコイツはちょい特殊だからなァ……」
ぐりぐりと頭を撫でて言うと優姫が不思議そうに顔を上げて言った。
「晋助とヅラにーちゃんお友達なの?」
「ヅラではない、桂だ」
桂にそう言われ、優姫は少し考えてから答えた。
「桂にーちゃん?」
「そうだ」
優姫が自分の名前を『ヅラ』から『桂』へと変わった事を満足していると、晋助が答えるのだった。
「友達っつー訳じゃねェな、腐れ縁だ腐れ縁」
「むぅ」
腕を組んで考え込む優姫をおいておき、桂は晋助に向かって話す。
「何も理解していない優姫殿を利用して何を企んでいる」
「オイオイんな言い方ねェんじゃねーか?なんだお前もコイツに弱いのか」
未だう~ん、う~んと悩んでいる優姫を見てから桂を見た。
「優姫殿は攘夷をする人間には向かない」
「んな事分かってるに決まってるだろうが」
はっきりと言い切った晋助に桂は驚きを隠せないのだった。
「出来る事ならこのまま連れて帰りてェくらいだぜ」
「高杉……お前……」
まさか高杉が優姫の事を懸想しているとは信じがたく、桂は驚いた表情でいた。するとポンと手を叩いて納得したらしい優姫がにぱっと笑顔で二人に言うのだった。
「腐れ縁ってお友達って事なんだね」
まだその事を考えていたのか、そう思い晋助は笑いを堪えていた。
「え――違うの―― ?? 」
晋助の袖を掴んで何度も尋ねていて晋助はクク、と笑いを堪えながらも笑っていた。
「桂にーちゃん違うの―― ?? 」
じっと見上げてくる優姫に桂は笑顔を作って言った。
「まあ間違ってはいないな」
「やっぱりお友達じゃん――――!」
桂の返事を聞くなり怒った表情で晋助に話しかけている優姫を見て桂はぼそっと言った。
「君のその無邪気さは、時として残酷だな」
「ふえ?」
急に言われが首を傾げていると高杉もクク、と笑って言うのだった。
「かなり残酷だぜ、純粋過ぎてなァ」