第11章 問題9 もふもふもふもふ
「取りあえずそのもふもふ君連れて屯所に帰ろう」
「もふもふ連れてって良いの?」
ぎゅむーっともふもふを抱きしめて尋ねて来たので山崎は頷いて言ってやった。
「もちろんだよ。局長達も頼めばきっと飼っていいって言ってくれるよ」
「わーい」
優姫は嬉しそうな顔をすると頭にもふもふを乗せて、山崎と仲良く手を繋いで屯所へ戻って行く。
(まぁ……そもそも局長達が優姫ちゃんのお願い聞かないなんてあり得ないもんなぁ…………)
そんな事をこっそり心の中で山崎は思うのだった。
◆
「局長――、あの……」
屯所に戻って来ると近藤の事を呼び探していたら、突然背後から刀がぬっと出てきたので山崎は青ざめて振り返えった。
「ふ、副長 !? 」
ゆらりと殺意をめいいっぱい出している十四郎が言った。
「……テメェが犯人か、アァ !? 」
「なんのですか―――― !! 」
「優姫に手ェ出した奴に決まってるだろうがァァァァァァ !! 」
ぐわっと刀を振り上げた十四郎に対し、優姫がさらっと言う。
「土方にーちゃん退にーちゃん虐めちゃ駄目」
その一言で十四郎がぴたっと止まったので山崎はホッと息を付いた。何時もだったら有無言わずに攻撃されるが、優姫が味方側としていてくれる間は身の安全が保障される。
優姫様様である。
「優姫ィ、今すぐに離れて下せェ」
総悟の声を聞き振り返ると山崎を狙って光っているバズーカーがいた。
「ええええええ !? ちょっと沖田隊長まで !? 」
わたわたっと慌てる山崎に向かって総悟ははっきりと言ったのだ。
「山崎の分際でィ優姫と手ェ繋ごうなんか良い度胸じゃないですかィ?」
ガチャッと構える総悟に山崎は急いで優姫の手を離して言う。
「いやちょっと別に手繋いで帰って来ただけで命狙うの止めて下さいよ !! 」
山崎が必死に弁解をしていると障子がバーンと蹴り飛ばされて近藤が出てきた。普通に障子を開ける事が出来ないのかと言うツッコミは、今は出来ない。
「局長 !! 」
助けが来たと思って嬉しそうに山崎が言うと、目を光らせた近藤が怒鳴り言うのだった。
「優姫ちゃんに手出してたのお前だったのかァァァァァァァ !!」
「アンタ等いい加減にしろォォォォォ !! 」