第11章 問題9 もふもふもふもふ
「ごちそうさまでした」
へにゃっと言った優姫は今日も食事を残していた。ソレを見て殺意メラメラの近藤達の事に気付く事なく、優姫はお盆を持って去って行くのだった。
(後をつけよう)
山崎は誰にも気付かれる事なく、こそこそと優姫の後を追って行く。そさくさと食事の残りをタッパーに詰めると優姫は元気よく屯所を出て行った。
「…………本当に隠れて動物でも飼ってるのかなァ」
優姫に気付かれない様に後を付けながら山崎はそう呟くのだった。
◆
「出てきて良いよー」
屯所から少し離れた公園の茂みの中に入り優姫はそう声を出した。すると茂みがガサガサと揺れぴょんと何かが優姫に飛びつくのだった。
「えへへおはよう」
飛びついて来たソレを撫でながら優姫はしゃがみ込んでタッパーを開けて言った。
「今日の朝ご飯だよー」
がつがつと優姫の持ってきた食事を美味しそうに食べているソレの頭を撫でていると、優姫のお腹がグーっと盛大に鳴った。
「あや、お腹鳴っちゃった」
へにゃっと笑った優姫を見て隠れてた山崎は、ガサッと出てきて声を掛けるのだった。
「優姫ちゃん」
「ほぐあぁぁぁぁぁぁぁ !? 」
急に声を掛けられたのだもんで優姫は驚いて大声を上げて振り返えった。
「……あ、退にーちゃん」
山崎の姿を見るなり優姫はわたわたと慌てて隠すのだから、ブッと吹き出し笑いをしながら言ってやるのだった。
「全部見てたから隠す必要は無いよ」
「全部?」
首を傾げて尋ねられたので山崎はしっかりと頷いて言う。
「最近ちゃんとご飯食べてないから不思議だと思って調べたのだけどね。こっそり動物飼ってたんだ」
優姫の持ってきた食事を食べきったソレの頭を撫でながら山崎は言った。
「何だろうコレ……リス……にしては大きいし猫じゃ無いし……」
「もふもふなの!」
しゅぴっと手を挙げて優姫が言うので山崎はじーっと見て尋ねた。
「もふもふ?」
「うん、もふもふしてるからもふもふ」
自称もふもふを抱きしめながら優姫は笑顔で言っているのだった。
確かに毛深くて触り心地がもふっとしているからもふもふと名付けたくなる気持ちは良く解るが……。
「絶対に地球の生き物じゃなさそ……」
ぼそっと呟いてから立ち上がり山崎は優姫に向かって言うのだった。