第10章 問題8 銀髪の侍さんを探せ
「だから大串君五月蠅かったんだな。ん――優姫ちゃ~ん、銀さん恐いから一緒にいてよ~~」
スリスリと頬ずりをされ、優姫は頭を撫でながら言った。
「坂田に―ちゃん大丈夫~~?」
「微妙に会話がずれている辺り優姫ちゃん天然だなァ……」
新八が呆れかえっていると、酢昆布を食べきった神楽が嬉しそうな表情で言った。
「優姫今日ここに泊まるアルか !! 」
「お泊まり?」
銀時の頭を撫でていた手をぴたっと止めて優姫は首を傾げながら言った。
「おうおう泊まってけ泊まってけ、むしろ此処に住んじゃいなさい」
上機嫌で言った銀時に優姫はにぱっと答えた。
「えとね、近藤に―ちゃんに聞いてみないと分からないからまた今度ね」
悪気無くさらっと言った優姫に銀時はガクッと項垂れた。
「坂田に―ちゃん屯所に行かなくても大丈夫?」
玄関で優姫が尋ねて来たので銀時はぐりぐりと頭を撫でながら言った。
「大串君に会ったから行く必要はね―な。優姫ちゃんがどうしても来て欲しいって言うのなら銀さん行っちゃうけどな」
「……大串君って土方に―ちゃんの事?」
「あ――そんな名前だった気もするなァ」
優姫の事以外は興味ありません、と言わんばかりの銀時の反応に新八は大きな溜息をついてから言った。
「またいつでも遊びに来て良いからね」
新八に続き神楽も笑顔で言ってきた。
「今度一緒に酢昆布買いに行くアル」
「うん、またね」
優姫は元気に手を振ってから万事屋を後にするのだった。
◆
優姫が一人屯所へ向かって歩いていると、気配なく茂みの中から呼ばれた。
「見つけたっスよ」
「ふえ?」
ぴたっと立ち止まると其処にはまた子の姿があるのだった。
「あ、えっと…………来島ねーちゃん」
へにゃっと答えるとまた子は呆れた表情で尋ねて来た。
「ちゃんと真選組の奴等の情報は集めてるっスか?晋助様の足を引っ張るようなマネは許さないっス」
「私晋助の足引っ張ってないよ?」
見当違いな返答をされ、また子は完全に呆れながらぶつぶつと言うのだった。
「晋助様もなんでこんな奴に大任任せたりしたっスか……」
「あのね…………」
ぶつぶつと言っているまた子の着物の裾をひっぱりながら優姫は尋ねてみた。
「真選組……本当に悪い人?」