第10章 問題8 銀髪の侍さんを探せ
優姫の心配する声を他所に襖がガララと空いて元気の良い近藤の声が挨拶してきた。
「ウィ―ス。おおいつになく白熱した会議だな」
近藤はぴったりとくっついている優姫の頭を撫でながらいつもの様に言った。
「よ~~し、じゃあみんな今日も元気に市中見回りに行こうか」
しかし近藤の左頬が物凄く腫れていて近藤が負けた、と言う事を物語っていて皆固まった。騒ぎの原因が自分にあるとはつゆ知らず、近藤は不思議そうに尋ねてきた。
「ん?ど―したの?」
「近藤に―ちゃん、大丈夫?」
心配そうに声を掛けた優姫と近藤を見て、十四郎は大きく溜息をつくのだった。
江戸のトラブル娘
問題8 銀髪の侍さんを探せ
「え?みんなどうしちゃったの急に固まっちゃってさ」
何も知らない近藤は本当に不思議そうな表情で、優姫と隊士を見比べて言っているのだ。
近藤の頬の腫れを見た隊士達は近藤が本当に負けたと言う事実確認がされ、途端に大騒ぎだ。
「銀髪の侍ィィィィィィィ !!!! 」
「よくも俺達の近藤さんをォォォォ !! 」
「絶対に殺してやるゥゥゥゥゥゥ !!!!」
バタバタと駈けだして行った隊士達に近藤はぽか―んとした。会議室に残っているのは総悟と十四郎の二人だけであったのだから。
総悟は近藤にぴったりとくっついている優姫に向かって笑顔で話しかけた。
「優姫おはようございやす。今日も良い天気ですぜィ」
「え……う、うん、そうだね」
隊士達の殺意メラメラの熱気に怯えてしまったらしく、優姫はオドオドと返事をする。
「なァトシ。何みんな騒いでるんだ?なんか事件か?」
「思いっきりアンタの所為だろうがァァァァァァ !!」
スパーンとせっかく総悟が戻した机を再び蹴り返して十四郎は言う。
「アンタが負けたからだっつ―の !! 」
「まあそう言う時もあるさ」
「そう言う問題じゃねェっつ――のォォォォォ !!」
本日も屯所は騒がしく始りを告げた。
「?」
隊士達がほぼ出払ってしまっていて暇だなァ、と考えていた優姫が縁側を歩いていると何か紙が落ちていたので拾った。
「何か書いてある?えっと……『白髪の侍へ !! てめェコノヤローすぐに真撰組屯所に出頭してこいコラ!一族根絶やしにすんぞ。真選組』。えと…………」