第9章 問題7 おにーちゃんはゴリラ、おねーちゃんもゴリラ
「好きな人が出来たの?」
「そうなんだよ~~。菩薩みたいな(ruby:女性:ひと)でね、凄く綺麗な人なんだよ」
優姫はそんな風に近藤の話に耳を傾けているのだった。
江戸のトラブル娘
問題8 おにーちゃんはゴリラ、おねーちゃんもゴリラ
「お妙さんって言ってな、この先の道場に住んでいるのだよ」
「わ――早く会ってみたいな―」
優姫は近藤に付き合い、その惚れたと言う妙の居る家へ向かっているのだった。
「優姫ちゃんもきっとお妙さんの事が好きになるよ、絶対に」
「えへへ、楽しみ」
近藤の惚れた相手だからきっと優しくて綺麗で素敵な人なのだろうなぁ、と優姫が思い向かっていくと目的の道場へたどり着いた。
「わ――大きな道場」
ソワソワと道場の門を探しているといきなり近藤が電柱を登り出した。
「近藤に―ちゃん?」
門はあっちにあるよ、と言おうとした瞬間近藤は大きな声で叫ぶのだった。
「お妙さァァァァァん!結婚してくれェェェェ !! 」
いきなりの行動にぽかーんと見上げていると騒ぎに段々人が集まって来る。だが近藤はそんな事を一切気にする事なく叫び続けるのだった。
「一度や二度フラれたくらいじゃ俺は倒れんよ !! 女はさァァ愛するより愛される方が幸せなんだよ !! って母ちゃんが言ってた」
どーしようかと見上げていると騒ぎを聞きつけたお巡りさんがやって来て叫んだ。
「こらァァァァ何やってんだ!近所迷惑だ降りてこいコノヤロー !! 」
お巡りさんの存在に気付き、近藤は誇らしげに答えるたのだ。
「お巡りさんおちつけェェェェ!俺は泥棒は泥棒でも恋泥棒さ !! 」
「何満ち足りた顔してんだ!全然うまくねーんだよ!降りてこい !! 」
近藤とお巡りさんのやりとりに困りながら、取りあえず門の方へ行き中を覗いてみる。その間も近藤は叫び続けている。
「お妙さァァァァァん!顔だけでも出してくれないかな~~~~ !! 」
ひょっこりと中を覗き込むと丁度縁側に一人の女性が出てきた。その女性を見て、近藤は顔を輝かせて言った。
「お妙さん !! 」
と、言う声と同時に近藤の顔面に灰皿がクリーンヒットして電柱から真っ逆さまに落ちていく。
「近藤に―ちゃん !? 」