第3章 問題1 これは寝癖であって天パじゃない
にこにこと見上げて言うに優姫貴史は顔を赤くして一歩下がった。
「たかしー?」
何で急に下がったの?と言わんばかりの表情で見ている優姫を見て貴史は思うのだった。
(こいつ……寝癖の事で暴走してなければ可愛いから……つーか自覚しろよ !! )
ドキドキと早く動く鼓動を押さえつつ貴史は言った。
「何でも良いから早く戻ってろ!」
「う……うん」
優姫は何がなんだか分からず首をかしげつつも頷くのだった。
◆
「えっと……日直のお仕事は……」
今からやるべき事を指折りで数えながら歩いていると、背後よりゾワっとくる悪寒を感じバッと振り返った優姫はぽかーんと見上げてしまった。
なんか黒くてモヤモヤもふもふドロドロでろでろしてるのがいる。
「いぎっ……」
本能で危険だと察した優姫は猛ダッシュで学校に向かうのだった。
「イヤァァァァァァァァァァ !! なんかっ……黒っ!黒すぎだよォォォォォ !!」
混乱が酷いのか色の事を気にして走っていると、また背後から叫びながら走っている貴史が来て言う。
「おまっ……今度は何をしたんだァァァァァァァァァ !! 」
「何もしてないよ―― !! 急に付いてきたァァ !! 」
半べそで叫び走る優姫を見て、貴史は言う。
「俺がこの訳分からんの引きつけるからお前取りあえず先生に助け求めに行けっ!」
どん、と優姫の背中を押すと貴史は黒いのに向き合った。
「貴史っ !! 」
「俺は平気だ!いいから止まるな!早く行け!」
持っている袋を使って黒いのに攻撃をしている貴史を見て優姫は叫んだ。
「私のチュッパチャップス !! 」
「テメェェェェェェェェェェェ !! 俺の心配じゃねーのかよ!」
怒りに身を震わせる貴史を見て優姫は付け足して言った。
「それと貴史 !! 」
「俺の存在はチュッパチャップス以下かこの野郎ゥ!」
怒鳴りながらも持っていた袋を優姫に投げるのと同時に言うのだった。